こたつむり

第5惑星のこたつむりのレビュー・感想・評価

第5惑星(1985年製作の映画)
3.5
♪ Welcome to the “STARLIGHT PARADE”
  星が降る眠れない夜に
  もう一度連れて行ってあの世界へ

いわゆる異文化交流系。
敵対する異星人と共に漂着した惑星で、最初は敵対するも、気付けば過酷な自然環境を乗り越えるために手を取り合っている…なんて物語。

舞台を変えれば現代劇でも通用しますね。
二次大戦中のフランス人とドイツ人が冬の雪山に閉じ込められる…とか。はたまた、同じ時代で日本人とアメリカ人が太平洋の無人島に漂流する…とか。

だから、既視感溢れる物語です…が。
本作の特徴は“主人公が粗暴で我儘なこと”。それとも、これが典型的なアメリカ人なんでしょうか。ちょっと自己主張が激しすぎる気がしました。

しかし、それがキーポイントであるのも事実。
最初から友好的だったら物語が平坦になりますからね。絆を強くするには障害を乗り越えることが大切。危険な野生生物と同じレベルで、主人公の性格も“障害”の一つに過ぎないのです。

それに文化の違いは本作のテーマ。
主人公を好きになれなくても、その背景には彼らの文化がある…そう思えば、きっと“異星人側”のほうに気持ちを重ねることが出来るはず。

また、手作り感満載の特殊技術が良いのです。
特に異星人の造形は見事な限り。CG全盛の現代よりも存在感が違います。爬虫類顔というのは典型的な気もしますが、その辺りはスルーが吉。

ただ、脚本に関しては微妙な部分もありました。
特に食料や水の確保など、生存するために必要な描写が足りないんです。この辺りを丁寧に描くことで緊迫感が増しますからね。そうすれば、もう少し奥行きが生まれていた気がします。

まあ、そんなわけで。
世界的に断絶が深くなっている現代ゆえに見直す価値のある作品。イマドキの作品に比べると“もったり”とした雰囲気ですが、物語が展開するスピードは速いので、三部作を観賞したかのような濃密さを味わえると思いますよ。
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