けんたろう

青春の夢いまいづこのけんたろうのネタバレレビュー・内容・結末

青春の夢いまいづこ(1932年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

女の子の想ひはカンニングできなかつたおはなし。


大学でも職場でも家庭でも、とにかくユウモラス。全編に亘つて可笑しき劇が演ぜられてをり、もう何度も笑つちまふ。特に坂本武さん演ずる大学の小使なんて、もう! 嗚呼、本当に可笑しい。
其れから、若かりし田中絹代さんが可愛くて堪らない。此んな瞳で見つめらた日にやあ、もうお終ひだぜ。又た、笠さんもたいへんお若い。本当に彼の笠智衆かと魂げてしまうた。

さて、其んな愉快で瑞々しき恋ひと友情の結末。
嗚呼、此んなにも清々しき失恋が、一体何処に在らう。哀しき男の義理人情──否、友情と云ふべきか。切なくも、朗らかで格好良き姿。素敵である。
然うして三人の揃うた動きには、友情の戻りし観が在る。何んとも清々しき、いゝラスト! 笑ひと共に涙が零る。

青春の夢いまいづこ。いゝタイトル。然うして、いゝ映画だ。