ヒッチコック作品であまり評価されなかったもの…第2弾
盲目のパラディン大佐が毒殺され、それまで彼の眼となり手となって尽くしてきた夫人が突然起訴された。
夫人の弁護士としてやって来たキーン(グレゴリー・ペック)は美しい容疑者パラディン夫人に惹かれていき、彼女の無罪を勝ち取ろうと奔走する。
ストーリーとしては目新しいものが無いが、70年前の法廷劇なので仕方無いかと…。
後にヒッチコックがトリュフォーとの対談本で語った事によると、この作品の明らかな欠点は配役だそうだ。
イギリスの弁護士は立派な教育を受けた上流階級なのだからローレンス・オリヴィエとかが良い。弁護士の妻にはグレタ・ガルボを考えていたのに、脚本のセルズニックと意見が合わなかった。
ん~確かにローレンス・オリヴィエの弁護士とグレタ・ガルボがその妻だったら雰囲気は厳かで今作とは大分違ったと思う。
しかし流石ヒッチコックという点も数多く有り、アンドレが登場する場面では顔だけが影になって見えない不気味さ、光と影でパラディン夫人の美しさを強調するあたりは見事。そして、安定感のあるチャールズ・ロートン。
原題The Paradine Case は単に「パラディン事件」、夫人の恋…は余計な解説で不要かと(笑)