OASIS

コックと泥棒、その妻と愛人のOASISのレビュー・感想・評価

4.0
ある高級フレンチレストランを舞台に、オーナーである大泥棒と、その妻と関係を持ってしまう学者との愛憎渦巻くサスペンス。

面白かった。2時間があっという間。しかし、カニバリズム要素を含んでいるのであまりオススメはできない。
レストランが舞台であるのに料理を映している画があまりないのは意図しての事だろうけど、食材も新鮮に見えないしトラックの中にあるものは腐っているしで悪趣味さが目立つ。
そんな悪趣味さを独特の色使いと美術でオシャレっぽく見せようとしているけども、これが本当にオシャレだから文句が付けられない。
駐車場→厨房→ホールとカメラが横に移動するごとに登場人物が身に纏う服が青→緑→赤と統一された色に変わっていく面白さと共にその変換のスムーズさに驚く。
たぶんウェス・アンダーソンなんかもこういう映画大好きだろうなと思わせる構図の良さがありました。

マイケル・ガンボンが一人で喋り続ける代わりにティム・ロスはあまり喋らなかったのが残念だった。
しかし、ヘレン・ミレンの脱ぎっぷりが潔くて学者との逢瀬ですら画になる美しさ。

「人は黒いものに高価な値段を付けたがる。トリュフやキャビア。どれも死を連想させる。死と食への欲求は似ている」というようなセリフが印象に残った。食欲や愛欲の先には必ず生物の死というものがついて回るものなのかもしれない。

ピーター・グリーナウェイの映画に欠かせないマイケル・ナイマンの音楽も素晴らしく、このコンビの作品の中では最高傑作なんじゃないだろうか。他の作品をあまり観ていないから分からないが。
エログロは芸術的な部分で緩和されているかと思うが、友達には勧めたくない。
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