くまちゃん

ドラえもん のび太のドラビアンナイトのくまちゃんのレビュー・感想・評価

4.2
ドラえもん史上最も空想と現実の境界線が曖昧になったファンタジックアドベンチャー。

大長編11作目(映画12作目)にして絵本世界に入るという独創力、ヒミツ道具を使えないという発想力、千夜一夜物語を舞台設定する空想力。
原作、脚本、製作総指揮 藤子・F・不二雄は子供に夢を与える天才と言っても差し支えなかろう。ベレー帽を被ったサンタクロース🎅

四次元ポケットを奪われヒミツ道具を使えない、ある意味アイデンティティの崩壊したドラえもんは嫌味を言われ仲間割れを起こし、ジャイアン、スネ夫と対立した所をのび太が仲裁するという珍しい展開がある。

しずかが絵本世界に取り残されたまま焚書されるという絶望。動揺するドラえもんとのび太を傍観しながら観客は気がつくだろう。タイムふろしきがあるじゃないかと。ここに劇的アイロニーが成立する。…と思ったらタイムふろしき全く使用せず。
アラビアンナイトの中には実話をもとにしてるものもあるため、タイムマシンで助けに行ける!
え?どういう事??👀👀❔
しずかは絵本の中だけど、タイムマシンが絵本内とリンクしてるってこと?
そんなものはどうでもよい!楽しければよいのだ!
ちなみに架空世界と現実世界のボーダーに関する言及が流す程度にあり、理屈はよくわからん。時空乱流みたいなものなのか。

今回のツアーをガイドするミクジンがランプの精に近いディティールなため、世界観を意識しているのかもしれない。
ミクジンの声(松島みのり)が思った以上にキン肉マンのミートだった。

物語冒頭のび太がスペアポケットを無断使用するのは、後に四次元ポケットを盗賊に奪われることを暗示していると言えるだろう。
手に入れたは良いがヒミツ道具の使い方がわからないカシム、シンドバッドの魔法グッズを奪い、ドラえもん一行を苦しめるアブジル、道具は使用者により毒にも薬にもなるということを描いている。

最後に小学生女児に奴隷や砂漠での放浪は地獄だろう。しずかの生に対する執着、仲間を信じ生き抜こうとする胆力に敬意を払う。(`・ω・´)ゞ
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