Maki

仮面ライダーBLACKのMakiのレビュー・感想・評価

仮面ライダーBLACK(1988年製作の映画)
1.5
公開:2022年
視聴:Amazon Prime

これはアマプラ『仮面ライダーBLACK SUN』の感想です。ドラマ版Filmarksが使いづらいので勝手にこっちに載せます。


🟣はじめに

BLACK。幼い頃に夢中になって漫画版も好きだった。再放送やDVDに触れていなくても主要キャラの名前を憶えている。RXの主題歌は熱い。

シリーズでちゃんと観たのは『BLACK』『BLACK RX』『フォーゼ』のみ。招かれざる客を自覚しつつ、もう1話目で「特撮を楽しめるリテラシー」を求められる。真剣に観るものか黙って忖度するものか迷いながら全10話完走。

これ…小学生の頃なら面白かったのかな。「大人向け」という宣伝に気骨ある物語を楽しめるのか期待するも肩透かし。グロ表現でレーティング掛かっただけなの、がっかり。

結局…フィクションでも「その世界におけるリアリティ、説得力」に唸りたい。キャラの言動がころころ変わったりキーアイテムの扱いが曖昧だと、素晴らしい役者が、制作側の都合で動かされているだけに見えてくる。私が感じ取れていないだけかもしれないけど。

🟣残念なところ
・怪人の着ぐるみ感、コスプレ感が丸出しで、うわっとなる
・怪人や創世王の設定も穴だらけ、暴かれる秘密に価値がない。創世王のエキス、ヒートヘブン、ストーン埋込手術、怪人と人間の間に生まれる怪人、怪人の見分け方、下級怪人と上級怪人の身分差や能力差など各々の関連付けがちぐはぐ。怪人が人間の下位存在なのか上位存在なのかもわからない。差別されながら高額オークションも行われていたり
・葵が、国の代表のように賞賛されつつ影に暮らすような日常の辻褄もあわない。易易と国連を通して発信できる権限も謎のまま、彼女の告白と告発に慄く全世界の視聴者には呆れるしかない
・人物の性格や思想がぶれまくりで、心変わりや闇落ちに意味がない、殺しあったあと一緒に行動したり、裏切ったあと親しくしていたり
・差別問題や腐敗政治の描写が粗雑でヌルく「悪」が見えてこない。特に前者は在日差別、黒人差別の実例をごちゃまぜに模倣しただけで「この世界ならではの差別」に感じられず。海外のヒーロー物やSF、例えばX-MENシリーズ、『THE BOYS』、『第9地区』、『ウィンター・ソルジャー』など参考にできる作品はあるのに
・未熟な俳優の棒読み台詞で難しい役をさせて見せ場が台無し
・ブラックサンの黒。三神官やビルゲニアや怪人まで黒にしたからコントラストが活きない
・残念さばかり勝ってしまい、旧作オマージュや最終回OPにも興醒め

🟣笑ったところ
・すぐ敵の首をもぎとろうとするブラックサン
・昔の光太郎が倉田てつをに似てる
・クジラのエキス、説明なく出てくる雑なオマージュ
・介護されている創世王、しかも正体は改造された一般人て
・バス襲撃するのに徒歩で行き、無策でやられる特殊部隊SAT
・SATを横目にビルゲニアに致命傷を与える町の一警官
・SATの第一攻撃陣が全滅したのに第二第三攻撃しない杜撰
・結局なんだったんだビルゲニア。見た目も顛末もダサすぎる


🟣よかったところ
・西島秀俊、中村倫也の佇まい、ブラックサンとシャドームーンのかっこよさ、造形や変身シーンは文句なし。黒と銀の王と王はとても映えて、もっと観たいと想った
・バトルホッパーとロードセクターのノーヘル並走
・やさぐれた光太郎、幽閉されていた信彦、ゴルゴムが元々学生動動で全員同志だったが袂を分かった、などの人物設計は興味をそそられた。もっと面白くできたはずと想う
・戦闘シーンは時々好いが限界も感じた。ないものねだりで『デアデビル』や『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』みたいにゴツゴツ削りあう闘いの仮面ライダーBLACK、観てみたい
Maki

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