よしまる

宇宙快速船のよしまるのレビュー・感想・評価

宇宙快速船(1961年製作の映画)
3.3
 バッシャーンという荒波から現れる三角の東映マーク、ではなくてゴゴゴォという火山の噴火口から現れるニュー東映マーク、初めて見た!

 すでにテレビではヒーローを演じていた千葉真一主演によるSF映画で、アイアンシャープという謎のヒーローに扮するのだけれど、はてさてこのアイアンシャープ、どこから来たのか、その出自は?技術力の出どころは?完全スルーw

 宇宙快速船というタイトルも、車なんだか船なんだかよくわからないジェット機のような乗り物で、だいたい快速ってのがあまり速そうじゃない。高速とか光速ではなくて快速って、快い感じの速さってことかいな。

 さて、そんなヒーローの雑さは置いといて、中身は正真正銘、宇宙侵略に対する地球防衛のお話で、ディザスタームービーとしてもちゃんとしており結構面白い。宇宙人に焼かれて壁に人型が残るのはヒロシマを思い出してちょっとビビるし妙にリアル。

 で、どちらかというとそんな宇宙人のほうがまるでおマヌケで可愛らしく、時代背景もあって日本の科学力万歳な映画ながら、イヤミがなく子供ならじゅうぶんにワクワクできたことだろう。

 そして特筆すべきはラスト15分の宇宙人の総攻撃シーン。戦隊モノなどの東映特撮に慣れ親しんだ世代ならわかる、いかにも東映らしい遠景のミニチュアと近景の実写の合成なんだけれど、これが1961年とは思えない出色の出来!

 国会議事堂も東京タワーも次々と破壊され、木っ端微塵に吹き飛ぶビルの下を逃げまどう人々。ガメラの渋谷襲撃より40年も前にこんな映像を作っていたのが衝撃的だった。

 まだ映画出演3作目という若い千葉ちゃんのアクションを堪能するにはやや物足りないとはいえ、ラストだけでじゅうぶんお釣りのくる力作。ちなみにその先の物語の締めかたはまあまあ適当。だからアイアンシャープって誰やねんww