このレビューはネタバレを含みます
自宅で。
1997年のアメリカの作品。
監督は「D-TOX」のジム・ギレスピー。
あらすじ
7月4日の夜、ジュリー(ジェニファー・ラブ・ヒューイット「ドッグ・アローン」)ら高校生4人組は浜辺でのどんちゃん騒ぎの後、崖道を走行中に誤って人を轢いてしまう。事件の発覚を恐れた彼らはその男を海に沈め、この事を決して誰も口外しないことを互いに誓い合う。それから1年後、大学に進学したジュリーの元に「去年の夏、何をしたか知ってるぞ」と脅迫めいた謎の手紙が届き、その日から4人の周囲で謎の鉤爪をつけた男が徘徊するようになる。
ティーン向けスラッシャームービーというと「ジェーソン」シリーズだったり、「エルム街の悪夢」シリーズだったり、「スクリーム」シリーズだったりとまぁ多種多様あって、今作はその中では割りかし地味めというかあまり有名じゃないシリーズと言えるんだけど、個人的には一昔前にテレ東の「午後ロー」で何度も観た記憶があって、多分スラッシャー映画の中ではかなり思い入れが強い部類に入るんじゃないかなと思う。
その上で今作の殺人鬼は「フィッシャーマン」。どうやら向こうの都市伝説をモチーフにした殺人鬼なんだけど、漁師が身につけるスリッカーコートと呼ばれる衣装と帽子に身を包んで、手にはフック船長みたいな鉤爪をつけた危ないおじさんって感じ。まぁ攻撃手段はこの手の殺人鬼ものよろしく神出鬼没でどこにでもやってきてその自慢の鉤爪でグサーという感じではあるんだけど、そこにもう一つの特色である「海要素」が絡んでいく感じ。特にインパクト大だったのが、主人公パーティーとはまた別でジュリーに片想いする嫌な奴でマックス(ジョニー・ガレッキ「ザ ・リング/リバース」)っていて、まぁそいつ自身は肝心にとばっちりなんだけど、フィッシャーマンの最初の標的にされちゃって殺されちゃった後、運転するジュリーの車のトランクがなんかガサゴソするなぁと不審に思って開けたら、なんと大量の蟹が蠢いているのと一緒にマックスの無残な死体が…っていうシーンはマジで気持ち悪かった、しばらく蟹食いたくねぇって思ったもんなぁ。
まぁ、ぶっちゃけ殺人鬼としては割とキル数は控えめなんだけど、その分ネチネチとしつこく主人公たちに嫌がらせしては消えての繰り返しで存在感をアピってくるのがまた陰湿。その上で後半畳み掛けるようにキルしていき、あえてそこでは死体を見せずに最後の最後に自分の船のアイスボックスに冷凍保存するという漁師らしさも見せつけてくるのもポイントかな。
で、上記のようにキル数自体はあんまりない分、ちゃんと主人公たち4人にもフォーカスが当てられているんだけど、事故を起こす前はあれだけ順風満帆だったイケメン美女4人組が事故を経て精神的にもダメージを負ったことで割と全員が全員暗い道のりを歩んでしまっているのも痛々しい。
特にサラ・ミシェル・ゲラー(「マックス・ヒーローズ」)演じるヘレン。元々地元のミスコンで優勝するなど4人の中でも1番輝く存在だったんだけど、事故を起こした後は憧れだった女優の道も上手くいかずに町に出戻ってデパート嬢として地味な暮らしをする日々。あれだけチヤホヤしていた過去から見向きもされずに姉にも嫌味を言われ、父親にはほぼシカト状態を食らうというかなり悲惨で可哀想…。久しぶりにあったジュリーとの再会にもヘレンは喜んでてもジュリーはあの頃を思い出すからと距離をとられる始末で徹頭徹尾可哀想なキャラだった。
ちなみに、同じ作品に出ていて作中ではジュリーと付き合ってるレイ役のフレディ・プリンゼ・Jr.(「クリスマス・ウィズ・ユー」)とは実生活でパートナーらしい。
そんな感じでスラッシャーの中ではエクストリームさはあんまりない分、じめっとした暗さが特徴的な作品で、まぁ個人的にはこの1よりも2の方が好みなんだけど、まぁ久しぶりに観ても面白く観れた作品だった。
轢き逃げダメ絶対！！
