Kou

ニュー・シネマ・パラダイスのKouのレビュー・感想・評価

4.8
『自分のすることを愛せ、
子供の時、映写室を愛したように──』



〈あらすじ〉
第二次世界大戦中、「トト」と呼ばれていた幼いサルヴァトーレ少年は、シチリア島の僻地の貧しい村で母と妹と暮らしていた。
そんな村のたった一つの娯楽施設は、村の中心の広場にある、教会を兼用した小さな映画館だった──




映画に魅入られた少年、トトと、映写技師のアルフレード。親子、いや、祖父と孫とも言えるほど年の離れた二人の、切なくも温かい『友情』を描いた映画賛美作品。



書きたい事は山ほどあるのに
書けないんです、レビューが。
手がね、止まっちゃうんです。
これほどまで自分の言いたいことを言葉に出来ない作品に、自分は初めて会いました。



唯一書ききれたのはココ。
『青年になったトトを電車で見送るアルフレード』
を描いたシーン。



トトはアルフレードを愛していたし、
アルフレードもトトを愛していた。
長い間を一緒に過ごし、
もはや運命共同体とも言える二人。
そんな二人の唯一の違い。
それは、『孤独を知っているかどうか』



アルフレードは、孤独だった。
映画を流し、皆を笑わせても、いつも独り。
雨の日も風の日も休むことなく孤独に働いた。
そんな彼だからこそ、
“分かる”し、“伝えたい”んです。
「トトは自分と違い、未来がある」
「トトはこの村で腐るべきじゃない」と。



彼はトトの去り際に、こう言います。
「私たちを忘れろ。
郷愁に惑わされるな。
もし我慢できずに帰ってきても、
家には迎えてやらん。」と。

そんな冷たい言葉を聞かされたトトは、
アルフレードに一体なんて返したと思います?



『ありがとう、
世話をかけたね』って。



ガチ泣きですよ、もう。
冷たくあしらってはいても、
トトには分かっていたんです。
アルフレードが自分に伝えたいことも、
自分のことをどう思っているかも。

離れるのは寂しかったでしょう、
さぞ辛かったでしょう。
でも村を離れて成功することこそが、トトがアルフレードに出来る唯一の“恩返し”だったわけです。



まさに『青春の友は、一生の友』ですね。
「素晴らしい映画に出会えて良かった」
そう、素直に思える名作でした。

───────────────────────

続けて『完全オリジナル版(173分)』を観た自分としては、こちらの『初公開版(123分)』を先に観ることをオススメします。
(良いも悪いも詳しく比較したものは『完全オリジナル版』のレビューであげます)



みなさんもこれを機に、「眠らせているまだ観ぬ名作」とやらに挑戦してみてはいかがでしょうか。
観て良かったときっと思えるはずですよ。



2018年2月13日 26本目
Kou

Kou