エイデン

海底軍艦のエイデンのレビュー・感想・評価

海底軍艦(1963年製作の映画)
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深夜 港で撮影を行っていたカメラマンの旗中と西部は、身体から蒸気を巻き上げ、海から上がってくる謎の人物を目撃する
驚いた声とカメラのフラッシュに気付いた謎の人物は海へと逃げ帰るが、そこに何故かタクシーがやって来て海の中へと転落してしまう
翌朝 海へ沈んだタクシーが引き上げられ、警察の伊藤刑事らによる調査が行われる
タクシーは盗まれたもので、運転手が土木技師である進藤を待っていたところ、突然首を絞められ、昏倒した隙に奪われたという
進藤もその際に誘拐されたと考えられたが、海中からは誰の死体も見つかることは無かった
奇妙な事件に誰もが首を捻っていると、旗中と西部が、謎の人物を目撃したことを伝える
その身体から蒸気が出ていた点は、タクシー運転手が首を絞められた際にその手が異常なほど熱かったという証言と合致していた
話を終えた旗中と西部は、偶然にも埠頭に着港した船から降りてくる美女を見かけ、被写体としてスカウトしようと考える
その後 事務所に戻った2人の元に再び伊藤刑事が現れ、土木技師が連れ去られる事件が他にも発生したことを伝えると、突然の地震に見舞われるのだった
その頃 “光圀海運”の専務楠見の元に、雑誌記者の海野という男が現れる
海野は楠見が大戦時に海軍の技術少将だったことを指摘し、当時 国民の目に触れず消えた“伊四百型潜水艦”について尋ねる
フィクションだと笑う楠見に対し、海野は死んだはずの伊四百型潜水艦の艦長 神宮司大佐が生きているという情報があることを明かす
海野を追い返した後、その話を聞いていた秘書の真琴は心配の声を口にする
彼女は神宮司大佐の娘であり、戦地へ赴く前 楠見に託されたのだった
その後 車に乗り込んだ楠見と真琴は、突然 運転手に海岸へと連れ去られてしまう
そこへ偶然にも、埠頭で見かけた美女が真琴であると突き止めた旗中と西部が車を追って現れる
邪魔をされた運転手は自らをムウ帝国工作員23号と名乗り、楠見と真琴を伝説の“ムウ帝国”へと連れて行くつもりだという
身体から高熱を発し海の向こうから次々と仲間を呼び寄せようとする23号に対し、一瞬の隙を突いた旗中は、楠見と協力して激闘の末 23号を撃退する
後日 一行がその事件を伊藤刑事に報告していると、23号から1本のフィルムが楠見宛に届く
その内容とは神宮司大佐が密かに建造している“海底軍艦”の建造中止をするよう命令するとともに、全世界に対するムウ帝国の宣戦布告であり・・・



東宝製作のSF特撮映画
押川春浪の『海島冐險奇譚 海底軍艦』を原作とする(といってもほぼ改変されてるので原案レベル)

海底にあるムウ帝国の侵略を防ぐため、秘密裏に建造されていた海底軍艦 “轟天号”で立ち向かうという少年心をくすぐられるストーリー
そんな快活なストーリーとは裏腹に、主人公らは特に軍人というわけでもなかったり、肝心の神宮司大佐が轟天号を大日本帝国海軍再建のために使おうとしていたりとドラマを生む設定も多い
第二次大戦時のまま生きている神宮司大佐に平和の願いが届くのかというのは、反戦というテーマに則ったものだし、ラストのムウ帝国が迎える末路も、まるで第二次大戦時の大日本帝国のようにも見えて物悲しいところがある

もちろんエンタメ要素もしっかりしていて、ムウ帝国との攻防にスパイ映画のような展開も楽しい
そして何より轟天号の活躍!
先端にドリルが付いたメチャクソかっこいいデザインの轟天号が超兵器で敵をなぎ倒す!
何か設定共々『海底2万マイル』のノーチラス号を彷彿とさせるけど、海底軍艦のくせに空まで飛べる!っょぃ
また劇中では観られないものの、設定ではキャタピラが生えて地上も走破できる!っょぃ

更にムウ帝国の守護竜“マンダ”という怪獣まで登場!何で?東宝だし
デカい龍みたいな怪獣でシンプルながらファンタジー感あって好き
モスラみたいに現地人に崇められてる怪獣で、割と勿体ぶって出てくる割には退場は早め
轟天号が強すぎたんじゃ・・・
この対決は『ゴジラ FINAL WARS』や、小説『GODZILLA 怪獣黙示録』でも見られる
結果はお察し

そんな感じで轟天号もバリエーションがあるんだけど、有名なよりカッコよさに磨きがかかった『ゴジラ FINAL WARS』の新・轟天号、『惑星大戦争』の宇宙進出した宇宙防衛艦「轟天」、アニメーションOVA『新海底軍艦』やその続編となる漫画作品『新海底軍艦 巨鋼のドラゴンフォース』では世界各国の海底軍艦も登場
そして近年ファンを驚かせたのは『劇場版 超星艦隊セイザーX 戦え!星の戦士たち』にて登場した“迎撃戦艦 轟天号”では、何と人間型に変形までする
どこまで夢を与えてくれるんだ・・・!

そんなわけで、エンタメ性に加えてドラマもふんだんに盛り込んだ名作なので、皆も観ましょう
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