広島カップ

竹山ひとり旅の広島カップのレビュー・感想・評価

竹山ひとり旅(1977年製作の映画)
3.8
半盲目の津軽三味線奏者である高橋竹山の放浪の物語。
子供の頃に麻疹で半盲目となった為、母親が近所の三味線芸人の所に入門させたことにより三味線の道に進んだ高橋。主に東北地方を中心に周る門付芸人としての若い頃の彼の様子を写す。

津軽三味線の音色ってキュウキュウっという感じがして何処となく生活の困キュウ感を感じさせる。
黒人の苦しい生活の中から生まれた音楽というとブルース。
髪の毛がモジャモジャの林隆三とツルッパゲの殿山泰司が、互いに白褌一丁で海辺で野飯を二人で喰らうシーンが笑ってしまいましたが、そのモジャモジャの髪の毛と叩き付けるような三味線奏法からジミヘンを連想させられます。

冒頭に竹山本人が渋谷のライブハウス"ジャンジャン"で三味線を弾いている迫力のステージシーンがありますが、この思わず息を飲んで聞き入ってしまう魂の三味線が生まれた背景(彼の人生)と人物について新藤監督が紹介しているような構成でした。東北の厳しい自然と庶民の貧しい暮らしぶり。

しかし、いまいち飢餓空腹感の描写が弱いのと竹山を演った林隆三の唄声が腹から太く力強く出てしまっているのは不満。もっと実際の生活は飲まず食わずの苦しいものだったろうと思います。声もあんなに出なかったのではないでしょうか。ジャンジャンの彼の演奏からはそうした印象を受けます。
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