コーカサス

大いなる西部のコーカサスのレビュー・感想・評価

大いなる西部(1958年製作の映画)
3.9
ウィリアム・ワイラー監督の詩情溢れる西部劇で人間ドラマとしても見応え十分の傑作である。
そしてジェローム・モロスのテーマ曲が素晴らしい。

牧場主の娘パトリシア (ベイカー)と結婚するため、東部からテキサスにやって来たマッケー (ペック)。
しかし、現地では彼女の父テリルとヘネシー家が、女性教師ジュリー (シモンズ) の持つ水源地をめぐって対立していた。

パトリシアを秘かに愛するテリル家の牧童頭リーチ (ヘストン) とマッケーの殴り合いは西部劇史上伝説のシーンである。
(牧童主の娘を秘かに愛するなんて『ジャイアンツ』のジェームズ・ディーンを思い出すが、そういえばベイカーも出演していた)

「あなたは臆病者と思われてるのよ」
そんなパトリシアの言葉にマッケーが返す一言が光る。
「そうではないが、勇気を見せびらかす必要もないだろう」
人知れずじゃじゃ馬を乗りこなしたり、コンパスひとつで荒野を行き来してしまうのも、西部より海の広さを知る元船長であるマッケーの勇気あってこそ。

大いなる西部の大いなる男たち。
「これが何の証明になった?」
そう、暴力では何も解決しない。
開拓時代は終わり、新たな西部の歴史がここに始まる。

34 2020 #291/2004