こたつむり

やかまし村の子どもたちのこたつむりのレビュー・感想・評価

やかまし村の子どもたち(1986年製作の映画)
3.8
★ 舌の上で溶けるラムネのように淡く

やかまし村…って村というよりも集落でした。
これは「杜王町が市町村の区分ではなく某S市に属する地名だ」と知ったのと同じくらいの驚きです(何を言っているのか分からない人は『ジョジョリオン』を読んでください)。

さて、そんな余談はさておき。
本作はラッセ・ハルストレム監督の優しい目線で編み込まれた日常。陽だまりの匂いが鼻孔をくすぐってくるような…そんな気持ちよさに包まれた作品でした(本当に居心地が良すぎて眠くなります)。

物語としては単純。
子供たちを等身大で捉えているだけです。
だから、オチもヤマもありません。
刺激なんて言葉は無縁の世界観なのです。

でも、それが良いのですよ。
ザリガニ釣り、無人島ごっこ、親に頼まれた買い物、水遊び、子猫、干し草のベッド、白夜の中の冒険、キャンプのときに見上げた夜空…。本作で汚いのは子供たちの洋服だけ。どれもこれもがキラキラと輝いているのです。

あー、これが子供ですよね。
僕も今年の夏、子供たちに囲まれるイベント(二泊三日のキャンプ)がありましたけど、大人からしたら些細なことで笑ったり、泣いたり、怒ったり。純粋なのですよ。

でも、僕自身は…どうだったのかなあ。
本作のように、あるいは自分の子供のように…笑顔が眩しかったのかなあ。ぶっちゃけた話、もっと卑屈で“いやらしい”子供だった気がしますけどね…。

ただ、だからこそ。
気兼ねなく想像力の羽を広げている彼らに目尻が下がるのかもしれません。一種の理想郷ですからね。

まあ、そんなわけで。
子供たちの笑顔を観るだけの作品。
童心に帰るために、あるいは自分の子供のために。たまにはこんな優しい物語も良いものですね。

To be continued… →→→ 
   『やかまし村の春・夏・秋・冬』
こたつむり

こたつむり