こたつむり

シックス・ストリング・サムライのこたつむりのレビュー・感想・評価

3.3
♪ 一瞬を取り逃して わずかに曲がった感情
  その時の祈りが 鮮やかに伸びたら
  二人で歩き出そう キレイな靴で行こう

変な映画っ。
の一言で済ましても良いのですが「変な映画」にも色々とありまして。本作の場合は“翼を傷つけてしまったので真っ直ぐに飛べない鳥”系。要は偏っているのです。

舞台は最終戦争後の荒れた世界。
誰も彼もがボロボロの服を身にまとい、顔は真っ黒。お酒を飲むにしてもグラスは欠け、銃弾や車は勿論のこと、食料も貴重品。普通の家族が人食を行うくらいに倫理感もゼロ。

そんな中で大切なのは命。そしてギター。
世界を統べるのは最強のギタリストだぜッ。ギニャーンッ!と音石明も真っ青なライトハンド奏法を繰り広げて、敵をバッタバッタと斬っていくぜッ!的な物語。

…の筈なのに。
刀よりも主張が激しいのは格闘技。
主人公を演じた俳優さんはやたらとキレが良いのです。あの蹴りの角度は素人ではありません。

また、ギターも大切かと思いきや。
ギターで叩くわ、投げるわ、枕にするわ…と「チューニングって何?食べれるの?」くらいに雑な扱い。一応、クライマックスにギターバトルがありますけど、正直なところ、もっとギターを前面に出してほしかったです。

でも、監督さんが本当に大切にしたかったの絆。
そう。本作の見どころは、主人公に助けられた少年。彼と主人公の微妙な関係性がポイントなんです。

というかですね。
少年が無茶苦茶に可愛いんですよ。
僕はそちら方面に興味はありませんでしたが、ちょっと目覚めてしまっても不思議ではないレベル。英国情報部の某少佐の気持ちが少しだけ分かりました(彼の許容範囲はもう少し上ですが)。

まあ、そんなわけで。
世紀末を旅するギター侍の物語。
個性豊かな敵キャラクターと、ちょっとアンバランスな語り口が面白いのですが、人を選ぶのは確実。期待値は低めの方が良いと思います。
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