しぇんみん

キック・アスのしぇんみんのレビュー・感想・評価

キック・アス(2010年製作の映画)
4.6
容赦ない暴力。

心を癒やす美しい朝日。

予想外の快作で得した気分。
現実と虚構、悲劇と喜劇の混ざり加減が絶妙だ。

物語は、さえない高校生の主人公デイブが、ある日突然コミックのヒーローのように街の悪党退治をしようと意気込む。

だが、町をうろつく本物の悪者に敵うはずもなくボコボコに。そして偶然手にしたプチ・ウルヴァリン的な能力(まさに怪我の功名)を以て「キックアス」として戦い始める。

そこへマジヒーロー「ビッグダディ」「ヒットガール」の二人が現れ、共に本当の悪党退治を始める、というもの。

ヒットガールが人気あるのは分かるが、何か主人公の彼女の方が魅力的だった。普通の可愛い米国女子はあんな感じなのかなと。

悪役側も含め、登場人物の心情や裏事情が丹念に描かれており、暴力的ではあるが感情移入し易い。

リンチや子供による大量虐殺など、容赦ない暴力シーンが取り沙汰されているが、それは普通の人間の所業こそがえげつないものなのだ、ということではないだろうか?

正義とは、個々人の主観的な道義を表し、ともすれば暴力的に問題を解決する傾向が強い。

その正義は必ずしも万人の正義ではないのだなということを強く感じた。

クライマックスで心地よいカタルシスを味わった後、美しい朝日のラストで癒される。

兎にも角にも、なかなかの秀作であることは間違いなし。

ハナマル!

2016/07/18
2017/02/03 一部修正
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