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バグズ・ライフのRのネタバレレビュー・内容・結末

バグズ・ライフ(1998年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

自宅で友人1人と。

1998年のピクサー映画。

監督は「トイ・ストーリー」のジョン・ラセターと「ウォーリー」のアンドリュー・スタントン。

あらすじ

虫たちだけが住む世界、そこにアリの島、アント・アイランドがあった。そこに住むアリたちは飢えをしのぐため、そして支配下に置かれたバッタたちのために日夜食料集めに精を出していた。しかし、アリの一匹で発明家のフリックが起こしたトラブルによって、食料全てが不意になったことから、バッタたちを追い払うため、助っ人を求める旅に出かける。

wiki情報によるとピクサー全体では短編含めると8作目。長編映画としては「トイ・ストーリー」としては2作目となる作品。

監督はアンドリュー・スタントンと当時まだピクサー全体のceoではなかったジョン・ラセターの共同監督というから、月日が経つのは早い。

まだ、初期のピクサー作品というだけあり、今見るとそのCGの荒さは目立つ。しかし、その反面、当時「トイ・ストーリー」の10倍の処理速度を持った最新式コンピューターを採用しているだけあり、特に終盤での雨粒の潤いなどは今見ても十分すごかった。

こうやって作品ごとに進化していってるんだなぁ。

話は端的に言えば「虫版七人の侍」のような感じに、加えて「なりすましもの」の要素も合わさっている作り。

バッタたちを追い出すため、発明家のフリックは助っ人を探しに街へ赴く。

今作、人間がいない(登場しない)世界なので、街自体も空き箱で作られたミニマムな街なんだけど、ちゃんと文明開化していてすごい。ホタルが信号がわりだったり、行き交う虫たちの中にはパントマイマーや「羽をムシ(毟)られた」の看板と共にホームレス然とした虫がいたりと芸が細かい。「モンスターズ・インク」でもモンスターが住む街が登場したけど、出来るならここのシーンだけで構成された別作品を観たいくらいだ。

そして、そこで出会ったのはサーカスの団員たち。

勘違いから団員たちを勇敢な戦士と勘違いしたフリックは団員たちを説得してアイランドへ連れ帰る。

そこで、大々的にドヤるフリックだったんだけど、早々にそれが勘違いだったことが発覚(早っ!)。けど、なんとか説得して編み出したのが偽の鳥作戦!!

ホッパーが鳥を苦手とすることから、偽物の鳥を作ることになるんだけど、いや実にきめ細かい!!

なんか、適当に作るんじゃなくて、鳥型に切った紙を太陽の光で拡大して、ちゃんと枝を骨幹として、丁寧に作られていて、流石虫、とっても勤勉な作業工程でした。

作品内では、トラブルメーカーで厄介者扱いされるフリックなんだけど、彼には「発想力」という武器があると思っていて。

上記の偽の鳥もそうなんだけど、他にも水滴で作った望遠鏡や草刈機など初めは仲間のアリの大多数から認められないけど、十分すごい発明品を開発してるんだけど、それと同時にドット姫に「石の話」をするんだけど、それが「仮定」での概念の話であることに彼女には通じていない点からも、フリックはやっぱり発想が他のアリとは違うのではないだろうか。

そんなフリックに絆されて、団員たちも奮闘するんだけど、最終的には仲間のアリたちも喚起し、立ち上がる(ここでのフリックの「屈しない」という決意に溢れた姿がカッコいい!)

ホッパーの印象的な演説(リスク回避という題材を不和を起こしたバッタ処刑を兼ねた個人的には結構好きなシーン)でも出たように「群集」となったアリたちの団結力は目に見えて脅威であり、一丸となったアリたちがそれまで支配下に置かれていたバッタたちを追い払い、ホッパーを打ち破るシーンはカタルシスを感じると共にグッときてしまった。

多分それは「その他大勢」だったアリたちがフリックの言葉で自分たちの「武器」に気づかされ、恐怖を克服し、立ち向かうことで「物語」に直接関与したからだと思う。

団員たちもしっかり活躍させながら、フリックだけでなく、最後は当事者であるアリたちの「結束力」で敵をやっつけるってとこに、ピクサーの「良さ」が現れていると感じた。

ホッパーの最後は肝心な場面は見せないけど、結構凄惨な死に方なんだけど、エンドロールで「トイ・ストーリー」に続いたNGシーンを挟むことで本作が劇中劇であることを提示している「フォロー」もピクサーらしい。

今から20年前の作品だけど、今見てもしっかりと作られた、フリックに負けないくらいの発想力に満ち溢れた作品でした。

当時は余計なことすんなよっ!!って煩わしく感じてたサーカス団長のP.T フリーだけど、彼自身悪気ない行動なわけで、「地獄の炎」の黒焦げシーンをはじめ今見るといちいちツボで、観終わった後は一番好きなキャラクターになってしまった笑。
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