モノクロのジャケ写で古い映画とばかり思いこんでいたら、音楽が妙に現代チック(全体的に音楽や効果音の主張が激しい)だし、カメラワークやエンドロールでの走行音とか洒落ていて、終わったころにようやく90年代の作品だと知る。
デブちんというほど太ってないけど、土食い癖がある割にぽっちゃり(だってお菓子も好きだもの)の弟と、仲間たちとの裏バイトに明け暮れる不良少年のようでいて結構ちゃんと弟の面倒を見る兄(よく見るとなかなかのイケメン)との機関車ふたり旅は、「世界の車窓から」タジキスタン編のごとく、異国の知らない文化を垣間見る感じが楽しい。あやしげなポットおじさんとか案外奔放?なお姉さんたちとか。野生の馬との併走にちょっと興奮するし、歩くコウモリがキモかわいいことを初めて知った。
父も弟も、すべてをなげうつつもりだった兄が、赤ん坊のように泣きじゃくる弟を慌ててあやす姿に萌える。振り返れば「少年、うっかり機関車を運転するの巻」「父さん池に落ちるの巻」以外大きなハプニングも起こらない旅だったのだけれど、ウェットになりそうでならない終始サラサラとした感じが心地よかった。
止まりたいときに止まれる機関車の運転手の仕事いいなあと思ったけど、悪ふざけを通り越してもはや殺人行為の襲撃がヤバすぎて無理。