狭須があこ

息もできないの狭須があこのレビュー・感想・評価

息もできない(2008年製作の映画)
3.9
息もできない。
ホラーじゃないのに。

「犯罪都市」2回目見てきたところなので、少女がチンピラに生意気言うところでめっちゃハラハラしました。
きみさー!相手がチャン・チェンだったとしたら、今もう、きみの両腕なくなったよ!!腹立つからって、知らんやつにまともに立ち向かうのはやめたほうがいいよ!!
世の中には本当のキチガイもおるからな!!

しかしもう、誰に何をされようが、怖くもないのか。と気づきました
今もう既にあんな目にあってるから。あんな言動しちゃえるのね
幸せな人のできる言動じゃなかったから、チンピラにもそれが届いた。
二人でいる時だけ、泣けた。理解しあえた。
つらいつらいふたりの道のりが交差するのを見ながら、私も息ができない苦しさを味わいました。

でも、私にはそもそも理解できないんですよ。暴力をふるわずにはいられないひとの気持ちが。
だからチンピラの気持ちにもなれないし、お父さんの気持ちにもなれないし、とにかく暴力的な男性陣全員の気持ちがわからない。
そして、いつも暴力をふるってくるお父さんが借金取りにボコボコにされているのを見て、かばいに出てくるお母さんの気持ちもわからない。
とにかく誰の気持ちもわからないんですよ

ただ唯一わかるのは、とりあえず男性陣が暴れだしたときに、女子供はどうすることもできないということ。
なのでひたすら意味もわからず、暴れる人たちを延々と眺めながら、どのくらい筋トレすれば私はこういう力に対抗できるようになるんだろうか?とか考えていました。

彼らもなりたくてなっているワケじゃないと思うので、私も望まず加害者になる可能性はあるんだとは思います。でも、とりあえず今のところその予定はないので、まずは被害者になったときを想定して筋トレをしておきたいですね。それが一番の感想です。

まぁ、トラウマやストレスのせいで、理性を押しのけてまで感情が顔を出すときっていうのは相当ヤバイのはわかるんですけど
ほぼ全員がそういうブチギレ寸前の状況なので、理性のある視聴者からしたら、感情移入するには酸素不足な人しか居ないんですわ
幸せになりたいとかの、そういう当たり前の感情すら見えなかったら、なかなかもう、見てるだけでツラい他人ですわ…

ネタバレになってしまうか、ミスリードになってしまうかはわかりませんが、「ラ・ラ・ランド」のような後味でした。
私は、彼らに幸せになってほしいし、彼らにも幸せになりたいと思って欲しいです。
狭須があこ

狭須があこ