荒野の狼

ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還の荒野の狼のレビュー・感想・評価

5.0
「ロード・オブ・ザ・リング」の三部作は、はじめてDVDが発売された直後に、鑑賞しました。当時、私は理不尽かつ不条理な出来事で、職場で追い詰められ、精神的に相当なダメージを受けていました。四面楚歌のような状況だったのですが、そんな時、唯一、私をサポートしてくれた友人が貸してくれたのが、この映画のDVDです。不条理で逃げられない運命を背負わされた主人公たちの苦闘が三部作の前半で描かれ、自分の当時の状況に似ていたので強い共感を覚えて鑑賞しておりました。三部作の最終作「王の帰還」では、主人公たちは、とうとう絶対絶命のピンチになり、後は死が待つのみと予想されるような状況に追い込まれます。そこでの会話が以下です。

Pippin: I didn't think it would end this way.  ピピン「こんな最後を迎えることになるなんて」
Gandalf: End? No, the journey doesn't end here. Death is just another path... One that we all must take. The grey rain-curtain of this world rolls back, and all turns to silver glass... And then you see it.  ガンダルフ「最後?いいや、旅はここでは終わらない。死はひとつの道。誰もが通らねばならない道。灰色の雨の帳が巻き上げられ、すべてが銀色に光り輝く。そしてお前は見るだろう」
Pippin: What? Gandalf?... See what?  「何を?ガンダルフ、何を見るのです?」
Gandalf: White shores... and beyond, a far green country under a swift sunrise.  「白い岸辺(砂浜)・・そしてその先に、朝日に光り輝いた果てしない緑の大地を」
Pippin: Well, that isn't so bad.  「うん、悪くないね」
Gandalf: No... No it isn't.  「ああ、悪くない」

私は自身の絶望的な状況で、この「White shores 白い岸辺」のセリフを聞いて、まだ自分の状況が最悪であった中で、希望のようなものを持てました。いつか「White shores」を見られる日がくるのだと。私が当時の危機的な状況を乗り超えられたのは、ひとつには、本作のお蔭で、勿論、本作を当時、私に見る機会を与えてくれた友人の友情によるものでした
荒野の狼

荒野の狼