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ガールのwhiskeyのレビュー・感想・評価

ガール(2011年製作の映画)
3.0
amazon primeにて。事前に宇多丸氏の酷評を聞いていて、多少引き気味に鑑賞したので、逆にそれなりに楽しめた。板谷由夏さんのエピソードが最もリアリティあったと思う。それ以外は女優の皆さんの顔面偏差値が無駄に高すぎて(笑)、受け入れにくいところもあった。その意味で全体に漫画的、戯画的ではある。

ちょうどダイバーシティについて調べていた時期に見たので、じつは結構考えさせられた。

仕事の世界で、「自分を女性としてではなく、人間として見てほしい」という表現はあり得るが、これを男性に置き換えた表現はほぼない。それこそが本作のテーマで、女性は仕事において自分の女性性を意識せざるを得ない局面があり、男性はそれ無しで済ませてきた。ダイバーシティが本格的に進めば、自ずと男性も自分の男性性に悩みながら仕事社会を生きることになるのだろう。時間はかかるだろうが大事なことだ。

日本において、女性が仕事社会で活躍するということは、すなわちその女性が「おじさん」的な生き方を選ぶことを意味する、とクライアントの女性が言っていた。ある企業で女性活躍の急先鋒となった大先輩の女性は、好きでもないのにオフィス内の喫煙所にあえて入り浸り、男性達と雑多な会話をするように心がけたそうだ。そこでのくだらない会話が組織の力学に影響すると直感的にわかったからだ。この話を聞いた時は本当に驚いた。

このように、あえて男化して戦ってきた人からすると、本作の麻生久美子演ずる女性が「女」を掲げて戦う姿はどう見えるのだろう。女性の中でも賛否ありそうだ。本作は、見た目に反してかなりデリケートなテーマを扱っていると思う。

本作の主演女優さんは前から苦手だったけど、「こんなに苦労しているのだから、せめてあの子だけはあのままでいてほしいよね」という友人達の一種の親心を体現した役どころだとわかって納得。だから終始、あんなにイタイ女の子なのだね。興味深いと思った。

あと、麻生久美子の恋人役の男性があまり好きでなかった。彼のような優しさを、許せない女性も多いのではないか。違ったらごめんなさい。
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