まちだ

許されざる者のまちだのネタバレレビュー・内容・結末

許されざる者(1992年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

昔、強盗や殺しもいとわない悪党であった農夫・ウィリアムマニー(イーストウッド)が賞金首を殺す旅に出るが‥という話。


西部劇はどちらかというと苦手でくわしくなのですが、楽しめました。

それは、この作品が”西部劇に対する批評的な目線”から作られているから。

この映画は西部劇なのに、しつこく”みっともない場面”が描かれる。

馬から落馬したり、撃ち損じたり、不発だったり、人を撃つことに怖気付いたり、人を殺したことを後悔したり。


劇中の作家・ブーシャンプの本の中の銃撃戦がそんなもの嘘八百だ、と暴露されるところが象徴的。


この映画では、徹底的に「西部劇」の欺瞞を暴く。(もちろん西部劇を愛するイーストウッドだからこそできること)
殺しは決してかっこ良いものでない。泥臭くみっもない。しかしそれが本当の現実なのだろう。



そして「許されざる者」とは誰なのか。
それは単純に賞金首や悪役の保安官たちだけではない。ネッドやキッド、そしてマニー自身も「許されざる者」なのだ。
”人が人を殺すことの罪深さ”、”人が人を裁くということの危うさ”を問いかけられる。


マニーが”3日後に生死の境から蘇る”ところに着目すれば、最後の展開でマニーが超越した存在として描かれているところも腑に落ちる。

人を殺したことはなくらないし、その大きな罪は死ぬまで背負い続けるもの。
そして、単純な勧善懲悪が全てであるわけがない、という姿勢に強く共感した。
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