PANDADA

21グラムのPANDADAのレビュー・感想・評価

21グラム(2003年製作の映画)
4.0
心臓移植を待つ余命1ヶ月の数学教授ポール。夫と二人の娘と幸せに暮らすクリスティーナ。神への信仰にすがる前科持ちのジャック。とある悲劇をきっかけに絡み合う3人の運命を描いた作品。

3人を主役にして、それぞれの視点をバラバラに組み直した時系列で展開していくストーリーはラストまで観るとやっと全てがつながる構成になっています。
かなり計算して時系列をバラしているので、観ていく内に少しずつ理解が深まりながらも次々と謎が形成されていくので、かなり引き込まれます。
そして、ようやくラストになってそれぞれバラバラだった視点と時系列が頭の中で繋がった時は、ストーリーの皮肉さに反して、ひとしおの快感があります。

そういう意味では非常に映画らしい秀作。

ショーン・ペン、ベニチオ・デル・トロも良いのですが、圧巻なのはナオミ・ワッツ。特に悲劇に見舞われた時の演技は神がかっていて、そのシーンだけでも観る価値あり。

独特な構成のため取っ付き辛さは確かにありますが、観了するともう一度観直して観たくもなりました。

たまにはこういう映画も良いですね。

余談ではありますが、夭折の作家伊藤計劃さんが作品のヒントにしたであろうセリフがちらほら見受けられました。
伊藤計劃ファンとしてはちょっとした発見をした気分。
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