鬼才ガス・ヴァン・サントが原点回帰し製作した2002年のアメリカ映画
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ハリウッドの大作を何本か撮ったガス・ヴァン・サント監督が、再びインディペンデント映画で、実験的な試みをした作品。鬼才と呼ばれる男の本領発揮といった内容。
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荒野で迷子になった2人の男をひたすら撮っているだけという、かなり冒険的な作品であり、完全に興業成績などは度外視している。
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永遠と続く荒野でひたすら歩く2人。少しずつ脳裏にちらつく死という言葉。やがて極限状態になってとった行動。これは極限状態の心の葛藤を描いた作品だね。
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まるで写真のような美しい砂漠の風景。この監督は静止画のような動画を映し出すのがうまい。監督お馴染みの空の早送りもあるし、映像の美しさには文句のつけようがない。
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ただ、台詞も少なく、長まわしのワンカットで構成されていて、特にこれといった展開もないというのはさすがにやりすぎ。完全に実験的に撮った映画という印象。
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主演はマット・デイモンとケイシー・アフレックの2人。というかほとんど2人しか出ていないが、2人とも「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」などの作品で監督とは組んだ経験がある。この作品でも出演だけでなく、脚本も監督と共同で手掛けている。
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この作品自体は面白いとは言えないが、この作品の翌年に撮って、カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した「エレファント」の布石になっている作品なのは間違いない。この作品で試したことが「エレファント」で活かされているから、「エレファント」をより楽しむためには観といた方がいいかもね。