あんがすざろっく

コクーン2 遥かなる地球のあんがすざろっくのネタバレレビュー・内容・結末

コクーン2 遥かなる地球(1988年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

レビューをあげようと思いますが、この作品のレビューをあげる為には、内容に触れずに書くことができません。
だから、今回はおもいっきりネタバレありで。



僕高校生ぐらいの時に、テレビで本作を見たんです。パート1見た後にね。
僕はこれを見て、初めて気付いたんです。


人間は誰もが、必ずしも永遠の命を望んでいる訳ではないこと。
ただただ、長生きしたい訳ではないこと。
SFファンタジーとして素晴らしかった前作の後、続編では人間ドラマに舵を切った印象です。




パート1のラストで不死の惑星アンタレア星へと旅立ったベンおじいちゃん達。
再びアンタレア星人と共に地球へ凱旋します。
彼らの家族は、亡くなったはずのおじいちゃん達が帰ってきて卒倒。
まぁここはちょっとクリアするのは難しいところ。これを受け入れて物語の先を楽しめるかどうかですね。

凱旋とは言え、今回の目的は再度危機に晒されたアンタレア星人の仲間達の回収。
回収が済めば、アンタレア星へと帰るのです。

ベン達は短い地球への帰還を、それぞれ噛み締めます。
前回自らの意志で地球に残ったバートとの再会、孫のデヴィッドの成長を喜ぶベン、懐かしい地球での暮らし。

地球で過ごす間にアートとベスは結婚、ベスの妊娠と、正に超超超高齢出産は目前。
若い頃から浮気癖が抜けなかったジョーは、妻アルマから距離を置かれてしまいます。
また、妻が亡くなった後まるで人生を謳歌することを頑なに拒否し続けたバートにも恋の予感。

しかし、残された時間は僅か。
アンタレア星に再び帰るか。今度は地球に残るか。
ベン達は人生の選択の時を迎えます。

ここから終盤にかけてのベン達の選択に、僕は高校生ながらとても心を動かされたんです。


事故に見舞われたアルマは、夫ジョーの命と引き換えに一命を取り止めます。
その上で、彼女にしかできない仕事、生き甲斐を見つけたアルマは、ジョーの思い出と共に地球に残ることを選びます。

アートとベスは、地球に残って出産すれば自らの命を危険に晒すし、子供の成長を見ることはできないと、アンタレア星への帰還を選びます。

僕が号泣してしまったのは、ベンの選択。
「人間は、自分達の子供や孫よりも長生きしてはいけないんだよ。自然の摂理に反する。」
永遠の命よりも、孫や家族との残された時間を大切に、地球での余生を選びます。

子供の成長を見守る幸せ。
生き甲斐を見つけて生きる幸せ。
残り少ない時間を家族と生きる幸せ。
閉じきった心の殻を破り、人生を謳歌する幸せ。

当たり前のことのようですが、高校生の僕にこのことをはっきりと分からせてくれた本作は、素晴らしい作品だと思っています。

あまり評価が高くないことも知ってるし、その理由にも納得できるんですが、僕はベンおじいちゃん達と再会できたことが嬉しかったんです。


今僕は介護の仕事をしながら、先程書いた幸せを、ご入居者さんにどれだけ感じてもらえているだろうと、日々思います。
何の楽しみもないのに、何で長生きしなきゃならないの、という言葉を聞く度に、僕はいつも本作が頭のどこかを掠めます。

そうなんだよな、ただただ長生きするんじゃなくて、楽しいことや生き甲斐があるからこそ、長生きしたいんだよな。

コロナ禍で外出も出来ず、家族との面会も制限される中、ご家族以上のことを僕達は何もできない。

だから僕は、せめてご入居者さんを笑わせたい。
日々くだらないことをやってるのが好きで、そんなことばかり考えて、でもそれでご入居者さんが大笑いしてくれるなら、僕はそれでいいと思ってます。

本作で描かれたような元気過ぎるおじいちゃんおばあちゃんは、さすがにいないけど(笑)、この映画と出会えて、おじいちゃんおばあちゃんと沢山話ができるこの仕事を選んで、僕は幸せだと思っています。
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