Habby中野

友だちのうちはどこ?のHabby中野のネタバレレビュー・内容・結末

友だちのうちはどこ?(1987年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

向こう側から話し声の漏れ聞こえるドアの前にいたとして、それはドアの“前”なのか、”後ろ”なのか。あるいはそのドアはこれから開くのか、それともすでに閉じたものなのか。
確かに。確かに、純粋な子どもの意思は大人たちの傲慢な態度や習慣によって次から次へと阻まれる。大人たちのその姿は愚かで、情けなく、馬鹿馬鹿しい。子どもの目線で見れば。確かに、愚かしい大人に翻弄される少年の姿を見た。でも彼に起きる重層的な災難は、異なる大人による一つ一つだ。集積されて嫌なほど目を引くが、その断片に、しかもそれぞれに悪意のないアクションにどれだけの正義を以て大人のぼくらが断罪できるというのだろうか。これをのうのうと見て大人の愚かしさをただ愚かしいと言うだけの大人が最も愚かしいのではないか。前時代的な社会はこうして作り上げられてきてしまったのだ。我々はかつてその子どもであり、いまその大人であるかもしれない当事者だ。この映画はまだ、どこであっても、いつであっても安全圏で鑑賞できるものではない。木の扉はいつか壊れる─人間がどれだけ長生きするというのか?壊れるのを待つのでも、鉄の扉に付け替えるのでもなく、適切にそれを開き閉じ通り抜けることが、できることのまず一つだろう。押し花を挟んだページは何度でも開く。
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