こたつむり

ビー・バップ・ハイスクールのこたつむりのレビュー・感想・評価

3.3
♪ Be-Bop-Hightschool
  不意に 寝言で愛してるだって
  Be-Bop-Hightschool
  そうね 聞かなかったことにしておくわ

見慣れた演出(雨の使い方)。
全身が痒くなる主題歌(挿入歌も…)。
必然性を感じない場面転換(遊園地とか)。
どれもこれもが昭和末期の雰囲気抜群。令和の世に観るのは厳しいかな…なんて思っていたんですが。

それは杞憂でした。
というか、現代では撮影できないアクションがスゴいんです。電車の窓から突き落とすとか。バックホウのバケットに載せられて落とされるとか。よくもまあ、許可が下りたものです。

また、昭和の不良は酷かったですからね。
喫茶店が襲われる場面がありますけど、無関係の人に迷惑をかけるなんて日常茶飯事。警察が出動する案件なんて珍しくなかったんです。

なので、これらの演出は最低限のレベル。
虚構が現実を超えるためには、安全性とか気にしたらダメなんでしょう。そう考えると、現代は平和で良いですな(物語を紡ぐ側からしたら退屈かもしれませんが)。

そして、本作で特筆すべきは。
不良に必要な要素である“ケンカ”ではなく、コミカルな部分に着目した点。確かに原作もケンカがメインじゃなかったですからね。原作を尊重しつつ、エンタメとして成立させた…という手腕にプロの技術を感じました。

あえて難を言うならばヒロインの配役。
泉今日子は名前のとおり、小泉今日子さんの外観をモデルにしているんで、中山美穂さんのイメージではないと思うんですよ。色々と大人の事情があったんでしょうが…。

まあ、そんなわけで。
不良マンガの金字塔をコミカルに描いた作品。
とは言え、現役のヤンキーが出演していたり、当時のヤヴァい空気感を再現したり…とバイオレンス的な部分に着目するのもアリ。昭和末期の雰囲気を味わう…そんな姿勢で臨むことをオススメします。

最後に余談として。
本作の那須博之監督は、後に伝説の『デビルマン』を仕上げたのですが…やはり、昭和と平成では空気感が違ったんでしょうか。本作の熱量で臨めば『デビルマン』も違ったと思うんですが…。
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