パリのカサノバ通りを舞台に、娼婦に恋した男が、客に嫉妬して奮闘するラブ・コメディ。
凱旋門やエッフェル塔がある表通りではなく、裏通りの娼婦街が舞台だが、雰囲気は明るく、そしてお洒落。山積みの野菜が並ぶ中央市場の情景が印象的。
その街にやって来た新米刑事のネスターは、上司がいるホテルをガサ入れしてクビになる。娼婦イルマと出会い、心を奪われる。
頭のリボンからストッキングまで、緑を好み、可愛い愛犬コケットにも緑リボンを付けるイルマ。なんとなく仲里依紗に似ていてヘビースモーカー。男にはパリッとしたスーツを着せて金を持たせたいイルマ。
イルマは可愛い。しかし、娼婦の女に恋をすると、客に嫉妬するから厄介だ。
嫉妬したネスターは、変装してイルマの客になり金を払う。イルマはその金をネスターに渡す。なんて面白いストーリーだ。
ヒモなのに毎晩働くネスターのくたびれた顔が切ない。
困った時は助けてくれるムスターシュはドラえもんのような存在だ。秘密の部屋から外に出るエレベーターは便利。経験豊富なムスターシュが最高のキャラ。
帽子に入れる賄賂、右頬のキスマーク、クローゼットの制服など、伏線を笑いで回収するのがお見事!
タイガーとなり戦い、英国紳士となりトランプをして、ネスターに戻り深夜労働する男は、笑いと感動をくれた。
「お熱いのがお好き」では、女装したジャック・レモンのドタバタ劇で笑ったが、この作品では紳士に変装して笑わせてくれた。
「アパートの鍵貸します」のスタッフとキャストが再結成。ビリー・ワイルダーとジャック・レモンのコンビは実に楽しい。