ひでやん

あなただけ今晩はのひでやんのレビュー・感想・評価

あなただけ今晩は(1963年製作の映画)
4.6
パリのカサノバ通りを舞台に、娼婦に恋した男が、客に嫉妬して奮闘するラブ・コメディ。

凱旋門やエッフェル塔がある表通りではなく、裏通りの娼婦街が舞台だが、雰囲気は明るく、そしてお洒落。山積みの野菜が並ぶ中央市場の情景が印象的。

その街にやって来た新米刑事のネスターは、上司がいるホテルをガサ入れしてクビになる。娼婦イルマと出会い、心を奪われる。

頭のリボンからストッキングまで、緑を好み、可愛い愛犬コケットにも緑リボンを付けるイルマ。なんとなく仲里依紗に似ていてヘビースモーカー。男にはパリッとしたスーツを着せて金を持たせたいイルマ。

イルマは可愛い。しかし、娼婦の女に恋をすると、客に嫉妬するから厄介だ。

嫉妬したネスターは、変装してイルマの客になり金を払う。イルマはその金をネスターに渡す。なんて面白いストーリーだ。

ヒモなのに毎晩働くネスターのくたびれた顔が切ない。

困った時は助けてくれるムスターシュはドラえもんのような存在だ。秘密の部屋から外に出るエレベーターは便利。経験豊富なムスターシュが最高のキャラ。

帽子に入れる賄賂、右頬のキスマーク、クローゼットの制服など、伏線を笑いで回収するのがお見事!

タイガーとなり戦い、英国紳士となりトランプをして、ネスターに戻り深夜労働する男は、笑いと感動をくれた。

「お熱いのがお好き」では、女装したジャック・レモンのドタバタ劇で笑ったが、この作品では紳士に変装して笑わせてくれた。

「アパートの鍵貸します」のスタッフとキャストが再結成。ビリー・ワイルダーとジャック・レモンのコンビは実に楽しい。
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