ユーライ

ランボー 最後の戦場のユーライのレビュー・感想・評価

ランボー 最後の戦場(2008年製作の映画)
4.7
ニュース映像を使用したオープニングの時点で何やらただ事ではない気配は伝わるが、その割にお話は『2』以降に醸成された、パブリックイメージとしてある「ムキムキのスタローンが悪い奴らをブチ殺します。以上」でしかない。野郎共の意見はハナから相手にしない癖に相手がお姉ちゃんになると態度を途端に軟化、ひいては敵対するミャンマー軍の皆さんは人を人とも思わない極悪非道の集団であるからいくらやっつけても問題ありませんよ、という勧善懲悪のお断りにしたってジャンルの定型以上でも以下でもない。だというのに、何故ここまで胸を揺さぶられるのだろうか。昨今の戦争映画ないし創作物全般はポリコレ的に「正しく」あることを求められ、「善も悪も立場によって変わる」みたいな倫理を求められた結果、白黒曖昧にせざるを得ないものがほとんどだ。もちろんそういったテイストで優れた作品はなんぼでもあるんだけど、それって一種の逃げでもあるんだよな。この映画は逃げない。戦場の現実を描く以上、地雷を踏むと肉片が爆発四散し、女性は強姦され、子供は泣き叫びながら一突きにされる。ご立派な善意を持っていてもミもフタもない現実の前では、人殺し駄目ゼッタイなんて綺麗事は通用しない。正義の味方がやっていることも所詮は人殺しなんだ。そこに良いも悪いもないんだよ、どう判断するかはお前が決めろといきなり突き放されてそれっきり。はい、と言うしかない。
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