April01

サスペリアのApril01のレビュー・感想・評価

サスペリア(1977年製作の映画)
3.8
鮮烈な原色を使った視覚に飛び込んでくるインパクトが強い。
特に赤は、不穏で不吉な空気を醸し出す手法として全編に渡る。
建物や室内装飾などデザイン面でのアートは魅力的。
ナレーションと空港のシーンが独特で、余計な描写を排除したダイレクトな表現がジワジワとホラーの空気を感じて印象深い。
そういう構図としての面白さが、感情に直接的に入ってくる感じ。

一方ストーリーは伏線を放置してたりして、雑な印象も残る。
そもそも何故スージーが渦中に入り狙われるのか、目的は何なのか、結局すごく単純な理由だったのかということになるし、細かいことを言えば、最初の晩、スージーどこで過ごしたの?パットはどうやって友人宅にたどり着いたの?など本当に放置といっていいくらい、詳細を描くことを放棄している。
ショッキングなシーンと、美術面で観客をキャッチしているとも言えるかも。
とは言え、学芸会みたいなB級ホラーが妙にツボにハマって見入ってしまうのも本作の良いところ。

ストーリーは一応あるけど、その伏線をなぜ深堀りしない!という勿体なさが、そこかしこに散りばめられている。
スージーと青年の思わせぶりなところとか、秘書と馬鹿にされるルーマニア人下僕の下等なやり取り、時計盗むの?とか挙げればきりがない。
それらがどこにつながるのかと思ったら回収なし!っていうのがズッコケるんだけど、その放置ぶりがまた本作の魅力にもなっているかもしれない。

リメイクしたグァダニーノ版が、あまりにもストーリーをいじりすぎ作りこみすぎていることに辟易したので、翻ってこのオリジナルの価値をポジティブに見直すことに繋がってたりもする。
April01

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