Kuuta

4デイズのKuutaのレビュー・感想・評価

4デイズ(2010年製作の映画)
2.7
米国のどこかの都市に核爆弾を仕掛けたテロリストに対して、設置場所を吐かせようと非人道的な拷問をするサミュエルL・ジャクソンと、理性的に接しようとするFBI捜査官の葛藤。舞台立てはとても明快で、密室空間での心理戦を中心に話は進む。

ただ、本当にそれ以上でも以下でもないというか、時間制限のある設定なのでどんどんシリアスな展開にはなっていくが、最初から最後までテンポが全く変わらず、奥さんはやめてー、とか子供だけはー、とか「拷問の質と量を増やすか減らすか」の議論に終始している印象。人物の感情がどう動き、決断したのかが見えない。映像的にも2時間ドラマって感じ。

なので、「グロい拷問シーンだけ印象に残った」というのは今作の感想として適切なんだと思う。

エンディングが米国版と日本版で異なる今作。当然日本版の方が製作陣のメッセージがはっきり出ているんだろうが、皮肉にも米国版のオチの、他に例を見ないレベルのブツ切り感の方が、善悪の議論が煮詰らずに終わってしまう今作全体の印象に近いと思う。

案外こういう後味こそが、いくら議論しても他国への侵略を繰り返す、米国の抱える虚しさに近いのかもしれない…(こじつけです)。

この出来なら日本版のオチでドヤ顔されるよりかは、米国版のグダグダを楽しんだ方がまだ生産的だとは思った。

「あのエンディングにせざるを得なかった」という今作公開を巡るエピソードこそが、一番アメリカという国を表しているような。53点。
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