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クレイマー、クレイマーのiroのレビュー・感想・評価

クレイマー、クレイマー(1979年製作の映画)
4.0
原題の〝vs〟の部分が実は重要だったりする訳で、「離婚調停」がテーマ、しかも女性側からの申し出で子供も残していくという設定は、1979年当時としてはかなり斬新だったに違いない。

ストーリーは、ダスティン・ホフマン演じる父親、テッドと息子ビリー(かわいい♡)の交流が軸である。ワーカホリックで家庭を省みなかったテッドが子煩悩に変身する様は、見ていて中々面白い。まあ父親側の視点寄りで描かれた作品なので、奥さん側の視点から捉えたらまた違う評価、感想が出てくるかもしれない。

昨年、Netflixで話題となった『マリッジ・ストーリー』の比較対象としてよく取り上げられていたが、夫婦間に焦点を当てた『マリッジ〜』に対し、この『クレイマー、クレイマー』はあくまでも父と子の絆を紡ぐ様を描いた物語である。だから、美しい妻役のメリル・ストリープはどちらかというと2人の引き立て役に回っている。

ところで、この頃は女性の社会進出を「ウーマンリブ」と呼んでいたのだ。懐かしいと思う人もいるだろうが、個人的にはむしろ新鮮な響きに聞こえる。

ベトナム戦争〜イラン大使館事件の醜態から何とか立ち直り、輝かしさを取り戻す正に直前の、若く活き活きとした社会の躍動、そんな当時のアメリカの空気もまた感じる作品である。
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