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オアシスのstのレビュー・感想・評価

オアシス(2002年製作の映画)
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何が我々を「人間」たらしめるのか。社会的地位や家柄、貴賤などは取るに足らず、「社会」における意思疎通を媒介する「言葉」が大きな意味合いを持つ。
生来的な身体障害によるフィジカルな「言葉」の制約、あるいは社会性の欠如から蓄積された、周囲を説得する「言葉」への諦念は、互いを求め合う2人の男女の間に望まぬ「刑事事件」という形で現前する。
「電話」や「カラオケ」、「"魔法"」といったリアルな「言葉」を通じて互いを確認する一方で、しばしば願いや夢など非現実的な空想をあたかもリアルであるかのごとく体感することで、2人は思いを深め合う。
「言葉」を掛け合うことなく木の「影」を取り除く「将軍」と、(「"窓"越し面会」を彷彿とさせる)窓一枚を隔てた「姫」との間には高らかにラジオの「歌声」が流れ、彼ら(=「社会」の中で隅に追いやられ続けてきた存在)が深夜の街の騒ぎの「中心」にいると気付かされる。
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