Melko

年をとった鰐のMelkoのレビュー・感想・評価

年をとった鰐(2005年製作の映画)
3.8
見た直後の感想
「いやジジイ!自分で狩りに行けるなら最初からそうしろ!甘えるな!ああ〜やだやだ、こんなふうに歳は取りたくない…」

非常にモヤっと感が残る不条理なアニメ。

随分前に見た、ブリーラーソンが出てる「ショートターム」で、アイテム・比喩として出てきた「年をとった鰐」
絵本が原作で、YouTubeにあるのを知り、胸糞展開と知りながらもずっと見たかった。
なるほど、なんだこれは。なんだろう。

んー、、3桁まで生きることが目標だけど、あまり長生きしすぎるのも良くないのかもと思った。年をとり、変に知恵だけつき、それと比例するように人への思いやりや配慮が減っていく。
「お腹が空いた」その衝動に駆られ、ひ孫を食べ、助けてくれて何かと良くしてくれたタコの足を、あろうことか騙して毎日1本ずつ食べ…そこに広がるのは明らかな犯罪の様子。
鰐本人に「罪悪感」というものがなく、代わりに「後悔」の念があることが、嫌悪を通り越して、滑稽である。
そもそも、本能のままに行動した結果、仲間から煙たがられハブられた時点で、そのまま死ねば良かったのに…なんて思ってしまった。「誰も自分を敬わない」なんて文句垂れる前に自分に聞いてみな。

足が12本あるタコ。
彼女もまた孤独だったのか。だから鰐を助けたのか。哀れな彼女。
でも、足が1本ずつ無くなってることに「気づいて」いたのではなんて、考える。
結局逃げられないから、自己犠牲なのかな。それでも一緒にいたかったとか?
わからない。私は自分が大事だから、そんな不義理な奴とはいたくない。

本能を理性で押さえつけられないモノはケダモノだ。

生活保護とか、老老介護とか、
助ける⇄助けられる の関係性を思い出す
本当に助けを必要としていて、自分じゃどうしようもない人たちのために、制度は絶対必要なんだ。
でも、、
「年寄りなんだから、助けてもらって当たり前」
「辛い時代を生きたんだから、敬ってもらって当たり前」
ではない。
そうゆうの、若い人たちはちゃんと見てるよ。評価してるよ。
思いやり思いやられの関係性。

ひょんなことから身体の色が変わり、身動き取れない代わりに、人間から崇め奉られる鰐。
空腹の心配がないけど不自由
空腹の心配があるけど自由

私は絶対後者。
前者の鰐は、滑稽すぎる。してきたことも相まって。

ナレーションもセリフも全てひとりが行う。穏やかな声が、微妙な恐怖を掻き立てる。
線画で色の淡い絵は、辛い展開とギャップがある。
子どもには厳しいけれど、見て、何かを感じてほしい気はする。
Melko

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