ほーりー

犬神家の一族のほーりーのレビュー・感想・評価

犬神家の一族(1976年製作の映画)
3.7
名探偵繋がりで市川崑監督の「犬神家の一族」のレビューを。

これも説明不要の大ヒット作。

助清くんのマスク、湖からニョキっと飛び出た足(おいおい湖深いんじゃなかったのかよ)など、これほどヴィジュアルの強烈な作品と珍しい。

横溝正史作品といえば個人的には、うちの母親が若い頃に天草四郎を題材にした小説を読んでいて、そのあまりの表現の不気味さに読むのを止めてしまったというか話を聞いていたので、ミステリー小説よりもホラー小説というイメージが強い。

本作も殺害方法や死体の損壊状態などかなりエグくホラーテイストが強いのだが、登場人物たちのリアクションがオーバーすぎて思わず笑ってしまう。

第2の被害者である地井武男の生首だって、あまりにも作り物って感じだし、そもそもあまりチイチイに似てないしで……

ほんと「面白いことしてるわねぇ」である。

舞台は終戦から間もない頃の那須市。

私は祖母が栃木県那須に住んでいたので、あんな大きな湖あったっけ?りんどう湖かしら?とか思っていたのだが、本作に登場するのは架空の長野県那須市でした。紛らわしい。

製薬業により一代で財を成した大富豪・犬神佐兵衛が息を引き取る。

故人の意思で遺言の発表は長女・松子の一人息子である助清が戦地から復員するまで延期となり、犬神家の人々は莫大な財産は誰が相続するのかで気が気でなかった。

そんな中、アイヌ研究で有名な国語学者……じゃなかった東京の私立探偵である金田一耕助は犬神家の顧問弁護士の一人から、近く犬神家で恐ろしいことが起こりそうなので調査をしてほしいと依頼を受ける。

那須市を訪れた金田一だったが、着いて早々、一族の関係者である野々宮珠代の乗っていたボートが沈没するのに遭遇する。

間一髪で助かった珠代だったが……。

全体的に重苦しいストーリーなのだが、その辺りは市川崑監督らしく重くなりすぎないよう色々工夫が施されている。

小沢栄太郎が遺言を読み上げたときに詰め寄る草笛光子や三條美紀の言い合いのカット割りの細かさなんて市川監督ならではだと思う。

さてやっぱり印象的なのが助清くんの母親・松子を演じた高峰三枝子。

山の淋しい湖に~♪

この映画のせいでこの人の「湖畔の宿」を聴くと、あの湖の足のシーンがつい頭に浮かんでしまうから困ったもんだ。

会社の元上司が言った「高峰三枝子のオーラが凄いから、すぐに誰が犯人がわかっちゃう」はなるほどその通りだと思う。

■映画 DATA==========================
監督:市川崑
脚本:長田紀生/日高真也/市川崑
製作:市川喜一
音楽:大野雄二
撮影:長谷川清
公開:1976年10月16日(日)
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