浅井拓馬TakumaAsai

モスラの浅井拓馬TakumaAsaiのネタバレレビュー・内容・結末

モスラ(1961年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

子供のためにネズミをつかまえてあげる姿を見て心の扉をひとつ開ける中条
島で小美人と出会うや否やインファント島に干渉しないことを約束する人々
そして何より、小美人がピンチになって「から」でないと姿を現さない(しかしすぐ側にいる)他人をまず信用するというムーヴに徹底された小美人はじめインファント島の人々

本多監督の地球市民的な視線はファンタジックな作品を狙っただけに他の作品よりもより甘い響きとなって写る本作、
映画という時代を考えれば今よりグレーな世界の中で立脚している表現世界を本多監督のような人が選んでいるという事実から、そこに表層的な正しい人間像みたいなものとは一線を引く強さが潜んでいることが見えてくる。

絵空事の世界の中で嘘のように様々な感情をスムーズに処理し進んでいく人々、その嘘のような姿の裏にある壮絶な景色歴史にあえてメインフォーカスしないで、時代と共に歩みながら捉え所のない本当に追い求めたい景色を丁寧に紡ぎ出した監督の姿勢がしっかりと染み渡っている、そんな作品。