砂場

火の鳥の砂場のレビュー・感想・評価

火の鳥(1978年製作の映画)
4.0
トンデモといえばトンデモだが、、、、
壮大な物語+ギャグは原作の味わいもある
まずはあらすじから

ーーーあらすじーーー
■くにざかい
猪を仕留める男、天弓彦 (草刈正雄)
卑弥呼の使いスクネ (大滝秀治)と卑弥呼の弟スサノオ(江守徹)が天弓彦の腕をかって火の鳥を仕留めてくれと頼む、そこに火の鳥が出現する、天弓彦 の弓矢は燃えカスになってしまった。
■マツロの国は騎馬民族により滅ぼされた。
美貌のウツメ(由美かおる)は醜い女に変装し、踊り子として騎馬民族について行った。
■ヤマタイ国、卑弥呼(高峰三枝子)は妖術を使い国を統治
侍女の長イヨ (草笛光子)は卑弥呼の占いのパワーが減退して
来たことに気がつく。
■クマソの国
海岸に一人の男が倒れている、他国のものであり殺すことにしたが男はグズリ( 林隆三)、医者だと言うことで病気のヒナク(大原麗子)を治す
ヒナクの夫ウラジ(沖雅也)はついに火の鳥を見つけた
が火の鳥を手で捕獲しようとして焼け死ぬ。
ウラジはヒナクを治した功績からヒナクと結婚した
■しかしグズリはヤマタイのスパイであり松明の火で海に向かって合図を、するとヤマタイの大艦隊が上陸
指揮をする猿田彦(若山富三郎)にグズリは妻だけは見逃してくれ
村人は皆殺しになり、ナギ(尾美トシノリ)は逃げ出した
ヒナクはグズリの裏切りを知ってしまった、しかしグズリはもうヤマタイには帰らないといい、ヒナクと暮らすことを選ぶ
■猿田彦はナギ を殺さず奴隷として連れ帰る、しかし卑弥呼は
猿田彦に対し奴隷を殺せと命じるがこればかりは、ご勘弁を、
卑弥呼の弟スサノオはそんな子供を殺す必要はないと姉を咎める
■猿田彦はナギを訓練する、狼の群れと戦う修行、UFOを踊る狼
■ジンギ (仲代達矢)はウズメ(由美かおる)の踊りの見事さに惹かれる
■オロ(風吹ジュン)はヤマタイの男の子、ナギ に卑弥呼暗殺を持ちかける卑弥呼の暴政で人民の心は離れている、
■スサノオが牛を殺し卑弥呼に神の力があるなら生き返らせろと牛を投げると卑弥呼は怒ってスサノオの目を潰す
■ナギの卑弥呼暗殺は失敗し猿田彦は蜂のいる監獄に入れられる
オロが殺される、オロは女の子だった、小舟で逃げる、蜂に刺され鼻が腫れた猿田彦を抱えてクマソの国に逃げ込む
■ナギはヒナクと再会した、裏切り者のグズリの子供を生んだ姉を理解できない
■ジンギは猿田彦を捕らえ殺そうとするが、ウズメと結婚することで難を逃れる。醜い女と思っていたウズメは実は美女だった。
■ヒナクとグズリの子タケルの誕生



<💢以下ネタバレあり💢>
■ジンギは遠い国から来た、ヤマタイを滅ぼすつもりで攻め込む。草の玉に火を放ち撃退する猿田彦の作戦だったが雨で失敗。ヒミコは死んだ、ヤマタイは滅ぼされた、スサノオもジンギの手勢と戦い戦死
ジンギと猿田彦の決闘、ジンギの部下の弓が大量に刺さり猿田彦死す、
天弓彦も殺される
■ジンギはウズメ俺の妻になれという。
しかしウズメは猿田彦の子を宿している、命は根絶やしにはできないのよ、私は旅に出ます斬るぞ!ご自由に、
■ナギは天弓彦が埋めた火の鳥を掘り出す、火の鳥は復活する
■タケル(田中健)はついに洞窟の崖を登り切った、そこには広い世界がひらけていた
ーーーあらすじ終わりーーー



🎥🎥🎥
トンデモ珍品扱いの本作、
手塚治虫の実写化珍品というと『加山雄三のブラックジャック』を思い出すなあ。ネットで検索したら
オープニングとエンディングの動画があって懐かし〜
このエンディングヒカシューなんですよね、結構かっこいい曲だった。

市川崑って観察の人だと思う、人間観察、原作観察、オリンピック観察など題材を徹底的に観察する。
今作では徹底的に原作の『火の鳥』を観察したと思われ、市川崑の目にはこのように見えたということだろう。
この映画の欠点として手塚流のちょいギャグをそのまま映像化した違和感がよく挙げられる。まあ確かに誰でも『火の鳥』を読めば、壮大な宇宙の歴史とか、命とは何かとかとにかく壮大なテーマを思い浮かべる。
しかし今回改めて手塚の『黎明編』を読み返すと結構な割合でギャグが挿入されているのだった。

そもそも読者はこの手塚ギャグをどう読んでいるのだろうか、なくてもいい余分なものかもしれない。
自分も『火の鳥』の壮大な物語にこのギャグは不要なのではないかと思うこともあるし、正直結構な割合で読者はスルーしているのではないか。
でもこのギャグ含めて漫画内の世界が作られているのであればやっぱりギャグは必要なのかもしれない。
で、市川崑は『火の鳥』はギャグ含めた一つの世界なんだとそんな風に思ったのだ、

この映画がギャグなければ深い名作になっていたかもしれない、例えば士郎政宗『攻殻機動隊』は結構ふざけた場面もあるのだが、押井版ではシリアス路線にして名作になったように。
ただ個人的には『火の鳥』も『攻殻機動隊』もふざけた雰囲気は嫌いではないので、市川崑がギャグを入れてきたことはチェレンジ精神は評価したい。
ただ映像としてのチグハグさは否めないが、、、、
ギャグ含めて相当原作通りになっている。

音楽はさすがにいい、ミシェル・ルグランの壮大な交響曲も、ノイジーなフリージャズ風のも、軽快なグルーヴの曲も良い。
あとキャスト見てたらあの『AKIRA』の芸能山城組が、、古代日本のイメージの曲を演奏していたのか。
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