LalaーMukuーMerry

あの娘と自転車に乗ってのLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

あの娘と自転車に乗って(1998年製作の映画)
4.2
中央アジアの「…イスタン」で終わる5つの国の一つ、キルギスタン(通称キルギス)の村の、思春期の少年のお話し。もちろん私にとって人生初のキルギス作品。

タイトルは彼の初デートから来てます。彼女をデートに誘うなら自転車、それも後ろに乗せるのではなく、前に乗せるということを、村のお兄さん・お姉さんたちの行動観察から、彼は学ぶのですね…

実に素朴な作品で、言葉も少なく、自転車に二人乗りするだけのシーンが、とても微笑ましくて素敵に見えるから不思議。

いたずら盛りのクソ悪ガキのやる遊びが、どこの国も同じだというのと、そこまでやるかと驚くのがあって面白い。そんなクソガキも自我に目覚め、異性に目覚め…

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キルギスの人は、日本人と外見がほとんど変わらない。たぶん私が生まれるよりずっと前の日本の田舎はこんなだったんだろうな、と想像します。その頃の田舎の子どもたちに目を向けたこんな素敵な作品が、日本でも作られていたらなぁ、と思います。

溢れる商品の中で暮らす私たちは、小さな違いをこれでもかと説明する、一見意味ありそうで実は大して意味のない言葉の洪水に慣れ切っている。心の機微も、こと細かに言葉にしないと、あるいはしてもらわないと気が済まない。そんな生活が当たり前な今の日本人には、ハッとするほど新鮮な作品。