LalaーMukuーMerry

ミッドナイト・サン ~タイヨウのうた~のLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

4.3
色素性乾皮症(XP)という難病をかかえる音楽好きの女子と、スポーツ好きの健康な男子、ハイスクール卒業間近の二人が、偶然出会って恋に落ち、彼女は秘密を打ち明けられないまま夜のデートを重ねるのだけれど・・・というラブ・ストーリー。お涙頂戴が過ぎる演出もなく、切なくていい感じのラブストーリーでした。
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太陽の光はだめだけど、電灯の明かりは大丈夫なのはなぜ? 光の強さか(閾値があるのか)、波長か(UV光が特に悪いとか)、いろいろ気になる部分がでてきたので、例によってWikiをみると・・・
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なんと、日本の映画「タイヨウのうた」(2006)のリメイクではないか(TVドラマもある)! 知らんかった(笑、というかトホホ)。
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XPの原因は紫外線、中でも有害なのは波長300~340nmのものだけ。紫外線によってダメージを受けたDNAを修復する機能が不完全なことが発症患者がもつ共通原因。だから紫外線を浴びることによる皮膚がんの発生確率は、正常者の2000倍も高い。日本にも約500人患者がいるとのこと。ということは、発生頻度は単純計算では100万人に5人くらいとなるが、実際にはもう一桁高いらしい(小児のうちに亡くなる)(新型コロナウィルスのワクチンの副反応によって重症化する人の割合もたぶんこの程度でしょう)。
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DNAの損傷と言ってもDNA分子のどこにどんな損傷が起きるのかによって、修復する酵素はいろいろあるから(そのたんぱく質とコードつけされる遺伝子もいろいろ)、どの遺伝子が異常かに応じてXPの症状もいろいろ。紫外線に弱いという分かりやすい症状の外にも、神経の症状(耳が聞こえにくい、つまづきやすくなる、喋りにくくなるなど)もメジャーなものらしい。症状が進むと車いすが必要になり、口から食べられない、呼吸も難しくなるなど、寝たきりになるとのこと。
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映画で描かれたようなドラマチックな症状の出方は、実際とは違うらしい。この点はちょっとマイナスポイントではあるものの、この映画でXPに対する世間の認知度が高まって(無知による差別がなくなるなど)社会の理解が進むのは良いことなので、まぁ良しとしましょう(←ナニ様)
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難病に負けず愛を貫いた若い二人と、周囲の優しい人たちによる、切なくも美しい物語に仕上がっていて、(XPについて何も知らないか、知っていても細かいことに目をつむれば)とても良い作品でした。ちなみにFilmarks評価は、元の日本映画よりリメイク版の方がずっと高いです。
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XPは、関係する遺伝子まではわかっているが、根本的な治療法は未確立のまま。早く治療できる日が来ますように。