LalaーMukuーMerry

僕の名はパリエルム・ペルマールのLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

4.4
ひさびさのレビュー投稿。

インド半島の最南端でスリランカの対岸あたり、タミル人の多い地域が舞台のインド映画。主題はカースト制度の最下層よりもさらに下、不可触民「ダリト」に対する差別の現状を世に知らしめること、なのだけど、脚本・演出(映像表現)が優れていて、ラブストーリー要素とサスペンス・ミステリー要素が加わった優れたエンターテイメント作品でした。

もちろん法的にはカースト制度は禁止されているが、タミル人の日常の中に今でも厳然と残っている。4つの階級の人々は、それぞれの属す階級の中で結婚をすることが暗黙のルール。身内の者が下層の者と結婚することは一族の恥とされ、名誉が傷つくのを防ぐために密かに殺人が行われることもあるらしい。その刺客が、一見それとは気づかれないような普通の人物だという所が何とも不気味・・・

貧しい小作農出身の主人公パリエルム・ペルマールが、大学に入学して知り合った裕福な家庭の娘ジョー(インド美人は美しい!)と恋に落ちるのだけれど、彼女は自分の家族(父親)が相手のことをどう考えているかということに対して、あまりにも無頓着というか無知なことが「マジですか?」というレベル!?

それに対して、彼女を傷つけまいと真実を話そうとしない彼の態度がなんとも切ない・・・

ラストのシチュエーションは、とても危ういバランスの上に辛うじて成立する蜃気楼のよう。父親は承服したようにも見えたが、心底反省しているのか納得できなかった。だから、このままじゃ彼の身の安全はこの先も保証されないんじゃないか? 裏でコソコソ悪事を働くより、ハッキリと結婚に反対してくれた方がよほどましだった。ジョーもいつか真実を知ることになるだろう。そうして父親とどう折り合いをつけるのか、よ~く考えて人生を歩んで下さいな。

ワンちゃんと、パリエルムの父親のエピソードが印象的でした。