LalaーMukuーMerry

スキャンダルのLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

スキャンダル(2019年製作の映画)
4.1
この映画は#MeToo運動が盛り上がった時期にタイムリーに日本で上映されたから、関係あると信じていたが、Wikipediaで#MeTooをチェックすると、運動の盛り上がりのきっかけは2017年、ハリウッドの映画プロデューサ、ハーヴェイ・ワインスタインによるセクハラ問題をニューヨーク・タイムズが取り上げたことだったようだ。
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これは、その1年前の保守系メディア、FOXニュース(略称FNC)の話だから、直接#MeTooとは関係ない。でも似たような内容。独裁的な権力者がトップに長期間君臨している組織には、往々にしてこの手の根深いセクハラ問題が隠れているということでしょう。
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元人気キャスターのグレッチェン・カールソン(=ニコール・キッドマン)と現在の人気キャスター、メーガン・ケリー(=シャーリーズ・セロン)、そして将来のその座を夢見ている女性ケイラ(=マーゴット・ロビー)、それぞれの立場の女性たちにふりかかるセクハラ・パワハラ。 これに、3人はどうやって戦ったかが描かれています。 
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#MeTooが盛りあがった今の感覚で、見てはいけないですね。運動はまだなかった。だとしたらどうすればよいのか、と考えながら見るべきでしょう。告発することは、キャリアを棒に振るリスクの高いとても危険な賭けだった。セクハラ専用電話の情報は実はトップにつつぬけの罠でしかないというありさま。だから多くの女性はタブーの話はせず、「わきまえて」行動していた。そんな中で勝つための作戦とは・・・
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はじめのうちは、大統領選挙運動のニュース(その中心はトランプ)について議論する場面が多く、会話のテンポがメッチャ早いので、頭の回転を速くしないと取り残されそう。FNCは保守系=共和党支持=トランプ支持ということをわかった上で見ると理解は早いと思います。保守系メディアの中でも、トランプ候補は女性キャスターには人気なかったんやね(そりゃそうでしょ)。
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この映画を見た時、くしくも日本では東京オリ・パラ組織委員会の会長が、「女性の多い会議は時間がかかる」とアホな失言をして世界中からヒンシュクをかっていた。本人はその場を笑わせる彼一流のジョークのつもりだったのだろうが・・・。 政治家というのは人々をリードして意識改革の先頭に立つのが役割なのに、悲しいことに日本で一番遅れているとしか思えない。#MeTooが盛り上がった原因と、森発言は、おそらく根っこのところでつながっている。人々の意識は大きく変わっているのですよ、わきまえてくださいな。