あきらっち

ヒートのあきらっちのレビュー・感想・評価

ヒート(1995年製作の映画)
5.0
1995年に公開された本作を再観賞。
初めて観たのはいつだっただろう…
“熱い”タイトルは今どき流行らないのかもしれないが、20年以上が経った今尚輝きは色褪せず、作品に込められた熱い想いが冷める事などきっとない。


“プロフェッショナル”
半端を許さない、自らに課した仕事の流儀。

例え自分の身が危うくなろうと、愛する者達が傷つくことが分かっていようと、変えられない、不器用で切ない男達の生き様がここに。

主演はアル・パチーノとロバート・デ・ニーロ。
誰もが知ってる名優中の名優だ。

若くはない。
だが、50歳を超えてなお、輝きを増す二人の圧倒的な存在感は、スクリーンに映る全ての場面で強烈な光を放つ。

追うものと追われるもの。
激情から冷静へ
冷静から激情へ
一見対照的な二人のキャラクターだが、秘めた情熱が交差し揺れ動く演技は、二人各々の持ち味を存分に発揮し、凄まじいまでの見応えだ。
その姿は同じ男として、たまらなく格好いい。

”俺はヤマを踏むプロ
あんたはそれを阻止するプロ“

善悪を超越し認め合う二人。
プロフェッショナルとしての敬意、信念を変えられない不器用で刹那的な生き様に同じ匂いを感じ合う二人。

誰よりも解りあえ、立場が違えば、唯一無二の親友になれたかもしれない…


それからもう一つ。
この映画に組み込まれた愛情の描写が本作を一層味わい深いものにしている。
仲間、妻、子、恋人、そして落ちるはずのなかった愛等…
人間を弱くも強くもする愛という感情。
刹那的な生き方に、愛は邪魔なだけかもしれないが、人の心は理窟じゃない…


ロサンゼルスの煌めく夜景を前にしてデ・ニーロ演じるニールが恋人に囁くセリフ。
”フィジー島では1年に1度、光の藻が見渡す限り海を覆う“

いつかこの映画を回想しながら、その光景を見たくてたまらない。


※もはや大御所と呼ぶに相応しい主演の二人だが、単に歳をとったのではなく、重ねた歳の質の高さをあらためて感じさせられた作品だった。
※二人を囲む役者達も素晴らしい。
振り返れば名優と呼ぶに相応しいキャストが名を連ね、皆各々に持ち味を発揮した素晴らしい演技だった。
とりわけヴァル・キルマー。役どころを見事に演じた彼の表情、動きの数々は、若くても大御所二人に負けない存在感を放っていた。
※圧倒的なキャストの演技と、男臭くも善悪を超越して引き込まれるストーリー、映画史に残る程の銃撃戦等、スリリングで迫力満点な映像・音響の数々に、170分はあっという間だった。
あきらっち

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