あきらっち

ミルコのひかりのあきらっちのレビュー・感想・評価

ミルコのひかり(2005年製作の映画)
5.0
原題“ROSSO COME IL CIELO”(空のように赤い)
邦題“ミルコのひかり”

この映画、邦題が素晴らしい。
観終わった後、タイトルに込められた意味が映画の余韻と相まって、胸が熱くなる。

本作はイタリア映画界屈指の音響編集者である“ミルコ・メンカッチ”の実話を元に作成された。
彼自身がサウンドデザインを担当しているという。

彼が何故、音の魔術師と呼ばれるようになったのか。


瞳を閉じて音に耳を澄ます。
光は遮られ暗闇の中、呼び起こされる感覚に気付く。

音が拡がりをもち、感覚は研ぎ澄まされ、
目で見ていた時には気が付かなかった世界がそこにはあった。

周囲に漂う僅かな唸りやくっきりとした音の輪郭
手のひらに感じる柔らかさや温もり
地面を掴む足裏の感覚
“匂い”、“温度”、そして“色”
空気や風すらも…

劇中のジュリオ神父の言葉を想い出す。
“感覚は五つある 一つだけじゃない”


感覚に個性が宿る。
特別な個性と想像力“ファンタジア”
それは例えどんな逆境にあったとしても、
誰にも奪えない強烈な“ひかり”に違いない。

ミルコを始め、世界中の子供達の“ひかり”に幸あれ。


※少年達はじめキャストの演技、音のもつ可能性、映像・音楽、家族の愛、甘酸っぱい恋や友情、そしてこれが実話である事の意味、傑作と呼ぶに相応しい素晴らしい映画に出逢えた。
ジュリオ神父のセリフの多くが心に突き刺さった。
ミルコの恋のシーンや、ラストの一連のシーンは何度観ても胸が震え熱くなる。
エンドロールまで…
最高です!
あきらっち

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