akrutm

幸せはシャンソニア劇場からのakrutmのレビュー・感想・評価

4.7
『コーラス』に続いて、クリストフ・バラティエ監督とジェラール・ジュニョ主演の本作を観賞。1936年のパリで、閉鎖されたシャンソニア劇場を再建するために、裏方で働いていたピゴワルをはじめとする仲間たちが奮闘するメインストーリーに、ピゴワルを捨てて出ていった妻ヴィヴィアンに奪われた息子のジョジョへの想いというサイドストーリーが色を添えている。もっともっと評価されて良い、フランス映画好きにはもちろんのこと、そうでない人にもぜひ見て欲しい珠玉の映画である。

『コーラス』のマチューとは違って、どちらかというとうだつの上がらない哀愁漂うピゴワル役を、ジェラール・ジョニュが味わい深く演じている。全体を通じてのユーモラスなトーンに加えて、ところどころに出てくるジャンソンやアコーディオンでの楽曲、そして華やかな(でも華美すぎない)ショーのシーンなどが、この映画をとても魅力的なものにしている。ストーリーよりも、まず楽曲ありきで本作が作られたそうで、主題曲『パリに恋して(Loin de Paname)』そのものの魅力に加えて、この曲を歌うドゥース役のノラ・アルネゼデールの歌声も素敵。また、ジョジョ役のマクサンス・ペランの可愛さも印象に残る。ちなみに、マクサンス・ペランはこの映画の製作も担当している俳優ジャック・ペランの息子である。(ちなみに、『コーラス』でも少年ペピノを演じている。)満点にしなかったのは、最後のまとめ方がやや私の好みと違うからで、映画そのものの出来だけを考えれば満点で問題なし。
akrutm

akrutm