ふき

007/ゴールデンアイのふきのレビュー・感想・評価

007/ゴールデンアイ(1995年製作の映画)
4.0
ピアース・ブロスナン氏の初ジェームズ・ボンド作品。
時代の流れを貪欲に取り込んできたボンドシリーズが、AJ暦(After JurassicPark)の洗礼を受けて、VFXアクション超大作として再構築された一作。
製作スタッフや役者の多くが刷新された本作は、「ジェームズ・ボンドはMI6所属のメンバーである」という前提を語らないままアクションとサスペンスのつるべ打ちなので、序盤は見ていて楽しい反面「これ何映画だよw」と思うこともある。しかし全体を通して見れば「冷戦が終わった後の諜報員とは」というテーマでボンドを相対化する視点を入れるので、新機軸の一作目としては相応しいだろう(相対化できたかは別として)。
敵役が明確な「ボンドの影」であるところも、『黄金銃を持つ男』や『スカイフォール』が好みの私にはドストライクだ。

また映画シリーズを流れで見ていくと、『リビング・デイライツ』の前(九年前)に親友だった006を失い、『消されたライセンス』でライター夫婦が悲劇に見舞われた後の展開となる。本作のボンドは髪型やお話の構成要素でティモシー・ダルトン氏からの流れを汲みながらも、プライベートな顔をほぼ鉄壁の仮面で隠して任務を遂行するので、その差も楽しめる。
まあそんなこんなは無視しても、一本の映画としてアクションありサスペンスあり爆発ありの、九〇年代アクション映画としての魅力に溢れた一作であることに間違いはない。
ふき

ふき