こたつむり

新・猿の惑星のこたつむりのレビュー・感想・評価

新・猿の惑星(1971年製作の映画)
2.8
★ 光と影のように 地球と月のように
  こんがらがって くっついて
  もいちど離れる 永久運動
 (たま『オゾンのダンス』より)

最初から最後まで強引な作品でした。
確かに前作『続・猿の惑星』の続きを描くのは困難。だから、作品として続けるのならば、発想の転換が必要だったのです。

ゆえに本作はかなり大胆に舵を切りました。
そして、人間の想像力は無限であり、工夫次第で物語は延命が可能…それを証明したのです。

なので、生温かい眼で観ることが大切。
歴史や設定に矛盾が生じても。
「おまえ、誰よ?」と言いたくなる新キャラクタがいても。公式の二次創作である…くらいの気持ちで臨めば楽しめるのです。

なんて思っていたのですが…。
んー。緊迫感のない楽曲が何とも微妙。
70年代らしい音の使い方と言えばそうなのですが…前作までの薄気味悪い雰囲気は皆無。緊迫感が必要な場面でも、ぽよーん。ぼいーん。ぽえーん。ってコメディにしか思えません。

また、登場人物(サル含む)全員に知性を感じないのも肩が下がるばかり。特に博士号を取得した人(サル含む)とは思えない非合理で思慮が浅い言動は…やはり、コメディとしか思えません。

だから、正直なところ。
本作は“オチ”ありきだったのでしょう。
あの“オチ”ならば、今後の展開も容易ですからね。そう。本番は次作『猿の惑星・征服』なのです。…ってあれ?金儲けのためだけに存在する続編と何が違うのか…もごもご。

まあ、そんなわけで。
シリーズ全体を俯瞰して考えれば、本作はひとつの転換点。前作とは別物として考えるべきなのでしょう。そして、本作の存在意義が分かるのは、次作『猿の惑星・征服』なのだと思います。

それにしても、邦題は言い得て妙。
確かに本作に相応しいのは『続々』ではなく『新』ですよね。でも、次作の邦題は…本作を観た後だと、なんとなく展開が想像できますよ…。うう…。

To be continued… →→→ 『猿の惑星・征服』
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