コマミー

ニキータのコマミーのレビュー・感想・評価

ニキータ(1990年製作の映画)
3.7
【泣いた分だけ、強くなる】


[気まぐれ映画レビューNo.100]

※なんだかんだ「気まぐれ映画レビュー」も100回を迎えました。記念すべき100回目は、フランスの巨匠リュック・ベッソンの全盛期の名作の1つを紹介します。




"リュック・ベッソン"が全盛期に作り上げた名作だと、ほとんどはまず「レオン」を思い出すだろう。だがリュック・ベッソンの名作で忘れてはいけないのはこの「ニキータ」だろう。
リュック・ベッソンと言えば、これまで数々の"戦うヒロイン"を描いてきた事でも知られている。今回レビューする「ニキータ」を境に、その後の「ジャンヌ・ダルク」や「コロンビアーナ」、「LUCYルーシー」、そして昨年公開された「ANNAアナ」に至るまで、様々な場面で女達を戦わせてきた。リュック・ベッソンへの高評判はつまり、"女性たちの活躍"が大きい訳だ。

その始まりがこの「ニキータ」なのである。

監督自身が「「レオン」のルーツ」と豪語するだけあって、所々に「レオン」に通ずる物語・人物描写が散りばめられている。
相手が戦う運命または失う運命でありながらも、その心境は決して"強くは無い"と言う、"人間的な優しさ"も放っているのがこの主人公"ニキータ"なのである。
愛するものを手に入れたとしても、周りの敵がそれを阻んでしまう所に"嘆く姿"に、私は後のリュック・ベッソンが描く戦うヒロインには無い要素である事を感じた作品が、この「ニキータ」なのである。

人は他人の底知れぬ弱さに惹かれるものである。主人公ニキータは「暗殺者」と言う役目でありながらも、"人としての感情を忘れず"、敵でありながらも殺す事をつい"躊躇ってしまう"姿に、私は後の作品にないものを感じたのだ。

"アンヌ・パリロー"の美しいニキータ姿を観ながら、それを再確認できた瞬間でした。
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