映画大好きザウルスくん

カオスの映画大好きザウルスくんのレビュー・感想・評価

カオス(2005年製作の映画)
3.2
武装強盗団のリーダーであるスナイプスは、交渉相手に謹慎処分中だった凄腕刑事ステイサムを指名するのだが…。名のある俳優たちを使って「実は〇〇でした」展開を重ね続けて、中盤で意外とアッサリ大者が離脱し、最後のオチで事件の解決より誰が勝ったのかに重きが置かれる辺りまで含めて、全体的な構図はかなり王道なC級サスペンスアクションだと思いましたが、そう思ってしまったがために逆に演技や雰囲気の中途半端な真面目さが気になりました。

アクション俳優としてブレイク中だったステイサムとスナイプスが案外脇役ポジションに配置されていて、話の進行は若手俳優のライアン・フィリップに委ねる形を取っていました。この配置だからこそ個人的にはステイサムとスナイプスにはもっと濃いキャラを演じて欲しかったです!スナイプスは冒頭でサングラスに黒の革コートという『ブレイド』や『7セカンズ』の余香を感じさせる衣装を着ていたり、途中から黒のハットを被っていたりと衣装面で色付けしてくれていたのですが、シリアス寄りなんだかハッチャケ寄りなんだか、強いんだか弱いんだか、イマイチ掴みどころのないキャラ設定だったのが少し物足りませんでした。ステイサムは最後まで善玉感の残った演技をしていましたが、結局やってることは悪玉なんだから最後の最後でめちゃくちゃ極悪人な思考も曝け出して欲しかったなと思いました。まあC級映画を狙った訳ではないのでそこまでバカバカしい演技に振り切ることも出来なかったんだろうなと理解はできますがね…😑

C級映画にはC級映画なりの傑作があると思っているだけに、本作がもっとC級映画に振り切っていたら最高に素晴らしかっただろうに…と身勝手な欲望を押し付けてしまいましたが、B級サスペンスとしてもそこそこ楽しめました。2大スターの他にも上司役で『ミッション:インポッシブル』のキトリッジが登場していたり、劇中で連呼してタイトルにまで採用されているカオス理論が大オチにあまり関わっていなかったり、不安感を煽るちょっと耳に残るテーマ曲が良かったりと、ツッコミどころも含めて見どころは決して少なくない作品だったと思います🙌

まあこれまで色々語ってきましたが、結局のところ「ステイサムとスナイプスのバチバチの格闘戦を見せてくれよ!」という話ですよね。サスペンスで捻りを加えずとも格闘戦で十分魅せれる2人だったのに。ちなみに2人に割って入っていたライアン・フィリップもテコンドーの黒帯を持っているとのことなので、三つ巴の格闘だってできたはずなんです。もっとアクションに振り切っても良かったし、C級に振り切っても面白そうだったし…。可能性を感じてしまうだけに何だか悔しい後味でした🫠