KANA

インサイダーのKANAのレビュー・感想・評価

インサイダー(1999年製作の映画)
3.9

アメリカの大手タバコ会社での不正告発をめぐる実話ベースの社会派ドラマ。

アル・パチーノとラッセル・クロウの顔合わせってなかなかレアだと思って鑑賞。

何気なくチョイスしたけどこれは見入った!

パチーノはCBSの人気報道番組『60ミニッツ』のプロデューサー、バーグマン役

ラッセルは大手タバコ会社B&Wの元社員で科学者のワイガンド役

巨大企業の隠蔽工作に立ち向かう2人の苦悩や葛藤。

パチーノの目線や声色など、じーっと観察してたけどやっぱり上手い!
彼の出てるトークショーなんかを見ると、必要以上にテンションが上がって出しゃばるイメージが私の中にある。そこはデニーロとは対極にある感じ。
が、映画の中の彼は機微の表現が繊細で、伊達にハリウッドのビッグショットじゃないなぁと改めて感心させられる。

このラッセルはまだコロコロ熊さんじゃないw
本作は最高にカッコいい『LAコンフィデンシャル』と『グラディエーター』の間の時期。
この2作での、力でねじ伏せるタフガイと違ってとっても繊細なインテリ。(家族を心から愛してる点はマキシマスもそうだけど)
真っ白ヘアと眼鏡と憂いの瞳、そしてあのドキッとする低音ボイス。
日本語も堪能な設定で、日本食レストランでの日本語が可愛かった笑

ワイガンドはタバコの有害物質の使用を指摘したことで上層部と対立し、B&W社を解雇されてしまう。
会社と秘密保持契約を結んでいた彼は、家族を守るためにバーグマンの取材に応じるべきかどうか迷いに迷う。
ワイガンドの動きを察知したB&Wは彼と家族を脅し始める。
CBS幹部もタバコ産業との訴訟を恐れ、バーグマンを番組から降板させる。
そういったことから、警戒しながらも少しずつ育まれる2人の絆…

B&Wの元副社長として
科学者として
夫として
父として
(解雇後)教師として
そして告発者として

…ワイガンドはすべてに手を抜けない人。
それで抱え込んでしまう。
ラッセルの繊細な演技はパチーノにも引けを取らないものだった。

終始暗め且つ静かなトーン。重厚感たっぷりでシリアスを徹底してた。
ダイナミックな動きはなくとも、このスタイリッシュな画面と演技力で惹きつけられっぱなし。
ラストカットまでマイケル・マンらしい骨太な男の美学。
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