大野

フォレスト・ガンプ/一期一会の大野のレビュー・感想・評価

4.4
知能指数の低さゆえ、ひたむきに生きていく主人公や、
優しくて良い子でも、暗い部分に侵食されていくジェニーを通じ、
1950〜1980年のアメリカをとことん表現した作品。

随所に当時の人間性や出来事が含まれており、
中には気づきにくい表現も多く、

例えば、大人になったガンプがバス停で待っている時、
初めて話しかけた黒人女性に対し、
靴の話をしつつ「痛くなさそうだ」と言ったところ、
「痛いわよ」とだけ返されていました。これ覚えていますか?

実は当時の出来事の一つを表現しているそうで、
この女性のモデルは、「公民権運動の母」と呼ばれた、
活動家のローザ・パークスさんらしく、

当時、黒人は白人に席を譲る、
というのが暗黙の了解だったらしいのですが、
ローザさんは譲らないどころか、立てと言われても断ったところ、
条例だからと逮捕された、という経緯があり、
そこから公民権運動が活発化したそうな。
(痛くなさそうだ→立てと解釈→断る)

他にも当時を表すさりげない表現で、
車で追いかけてきた時のバンパーの旗(南部連合)や、
長距離ランニング(ルイス・マイケル16歳)、
ステッカー、Tシャツ(ヒット商品)、
ジェニーの病気(エイズ蔓延)etc...があったり、

スクールバスでの “偏見を持った“ 子役に、
監督たちが “自分たちの子ども“ を充てていたりと、
隠されたメッセージもいくつかあるようです。

ジェニーにしても、あまり描かれてはいないが、
トレーラーハウスで過ごすことになった描写はあるし、
暴力的な父親似の相手ばかり選んでしまうあたり、
心理を踏まえたリアルな描写だなと思いました。
ゆえに落ちていくけど、良い子な側面もあるから落ちきれず、
自分を責めて自殺したくなったり。

調べていて、一番感慨深くなったことを最後に。
オープニングでガンプが、
拾った白い羽を閉じ込めたページです。

ストライプともとれる電線に、2羽の鳥と手を伸ばす少年、
そして羽を置いた位置、
良い作品だったなと改めて思いました、
見直してみてほしいです。

p.s.
2人がそれぞれ理想と現実を表現している、
っていう解釈を知り、さらに納得。
大野

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