出版業界を通じた、
デジタル化が進む現代へのメッセージ作品。
邦ドラマの縮小版って感じ。
大泉洋さんが好きって人であれば、
より楽しめるかな?って感じです◎
ただし、
“ 中盤までは “ ですが。
理由は後ほど。
(一応、原作まとめを読みましたが、
改変されすぎており、
もはや別作品です。
小説の方は、少し大人向け。)
※ それなりに調べていますが、
改変されすぎており、原作未読のため、
以下、多少誤りがあるかもしれません🙏
今作には、原作小説があり、
“ 執筆のスタートが、かなり特殊 ” です。
というのも、
雑誌『ダ・ヴィンチ』の表紙を、
大泉さんが多く飾っていたことが発端という。
どういうこと?ですよね。
この雑誌では、表紙を飾った人が、
オススメ本を紹介するページがあるそうで、
大泉さんは、何度も飾っていたこともあり、
インタビューの際、逆に編集の人に、
こんな質問をしたそうです。
「映像化された際、
僕が主演できるような小説は、
ありませんか?」
それを聞いた編集サイドは、
その手があったか!と。w
検討した結果、小説家の塩田さんに、
「大泉さん主演で執筆してみませんか?」
と提案するに至ったらしく、
そういった経緯から、
今作は原作の時点で、主役を大泉さんとして、
制作(当て書き)がされていたそうです。
(当て書きとは、
事前に俳優を決めて脚本を書くこと。
小説では、かなり珍しい。
塩田さんはその後、
大泉さんに4年間取材し、
振る舞いや喋り方などを研究し、
大泉さん本人にも、
打ち合わせに参加していただき、
監修してもらうなど、
とことん落とし込んだとのこと。
小説の表紙も大泉さんです。
https://www.amazon.co.jp/騙し絵の牙-角川文庫-塩田-武士-ebook/dp/B081HY3ZCD
小説は、400ページを超えるそうな。)
しかし、
実際に作品を観てみると、
、、そこまで大泉さんっぽいか!?
と、僕は思いました。
それもそのはず。
小説から映像化するにあたり、
大胆な改変が行われており、
人物像までも改変されていたようで、
完全に別キャラです。道理で。
撮影中、
“大泉さんっぽい”って理由で、
何度もNGが出ていたらしく、
大泉さんに、
「私が出た映画の中で一番、
私っぽくなかった」と言わせるほど。笑
(公開挨拶 19分辺り〜)
https://www.youtube.com/watch?v=DN4MH_hJ5Ts
原作での主役は、
「天性の人たらし」と言われており、
気さくで人当たりがよく、
ふざけもする口達者。
苦労も多いが、秘めた熱意があり、
信頼も厚く、自然と周りに人が集まり、
そして騙されていたっていう、
いかにも大泉さんって感じでありながら、
実は最後、騙す側でした、、!
って感じらしいのですよ。
いつも騙される側の大泉さんがまさかの、
策士的に騙し返す側ですよ?笑
それだけで面白そう。笑
(大泉さんが騙される側というルーツは、
“水曜どうでしょう”
という番組からです。笑)
ストーリーも原作では、
速水は、トリニティ “ 一筋 ” の男で、
周りで色々な問題が交差する中、
速水は家庭も持っていたが問題が多く、
関連会社の衰退にも悩む中、
副編集長がスパイと判明!
信頼していた高野にも騙されていたと知る!
徐々に明らかになる速水の秘密!
雑誌の継続に奔走するも、
人望だけでは組織には敵わず、
、、トリニティ廃刊。。
、、、すべて終わった。
と思いきや、
裏で用意周到に手を回していた速水が、
起業して旨味を全て掻っ攫う…!
完全な一人勝ち!
って感じらしく、
何度も言いますが完全に別物。笑
(高野とは、まさかの不倫関係だし、
二階堂先生も最初から仲良し、
他社と上手く策略し、
パチ台やアニメ化にも手を出します。)
変わっていないキーポイントとしては、
大泉さんが編集長役ということ、
先代社長が亡くなってから話が展開する、
ってくらいのようで、
重要な人物が大量に削られていたりと、
本当に何もかもが変わっています。
大泉さんを当て書きしたキャラが、
完全消滅していたのは、
非常に残念でしたが、
映画としては、諸々の改変がされていて、
これはこれで正解だったかな、
とも思いました。
とはいえ、良いと思えたのも、
後半が始まるまで。
ここからは、少々辛口になりますが、
レビュー冒頭の、
“ 中盤までは ” と言った理由です。
後半にも、良い部分はあるのですが、
展開があまりにも雑。雑すぎます。
一言でいうなら、
“ 迷子 ”
高価本に関しては一考ありますが、
展開含め、登場キャラの魅力が、
ことごとく分からなくなりました。
一番雑に扱われていると感じたのは、
東松ですね。
悪人に仕立て上げるためか、
急にファンド要素ぶっ込まれたかと思えば、
(序盤の会食は、伏線とは言えないレベル)
あっさり撃沈、退場。
、、、一応この人、社長ですよね???
物流センターが、
先代からOKとされていたのは、
実は、
“ 薫風社を進展させるという、
KIBA計画の上で “ という話でした。
時流により、
物流センターは時代遅れとなり、
KIBA計画は、
デジタル生存に切り替える必要があった、と。
東松がこれを知らされていなかったのは、
先代に止める力がなかったこと、
あと、“ 会議中のタバコ “ から、
察するくらいしかないですが、
古い体質の人間であり、
“ 小説薫風 “ よろしく、
会社から排除する必要がある、
と見なされていたから、かと。
確かにファンドの雰囲気で、
東松を潰す筋は通るように見えますが、
社のために尽力もしてたと思いますし、
速水の意見を多く採用するなど、
臨機応変で話の分かるタイプだったのに、
後半はなぜか、
急に頭カチカチおじさんに変貌。
いやほんと何があった?って感じですよ。
というか、
速水達の臨むままに走っていたのに、
あの叩き潰す空気は、
完全にオーバーキル、、笑
その後は、
急に人が変わったように弱ってて、
別人かと思いました。
一応ここで良かった点としては、
流れはかなり雑でしたが、
東松最後のセリフ、
「走らされていたのは俺だった」
でしょうか。
前半に、
速「鶏ですか?サラブレッドがいいです」
東「それだけの走りを見せてみろ」
とありましたが、
東松はこの時に既に、
速水に走らされていたっていう。
この東松の最後のセリフは、
今作を表す代表的なフレーズかと。
ちなみに、
冒頭のシーンも掛かってます。
先代、喜之助氏が犬と散歩していて、
亡くなるシーン。
手綱を持ち、
犬をコントロールしているつもりが、
実際に走らされていたのは自分で、
そのまま、亡くなってしまう。
老衰(時代)には敵わない。
真にコントロールしている側が生き残る。
これらは、そういう表現だったのかなと。
( “ KIBA “ の名の由来。
東松は「言葉、イメージ、場所」
としていたが、
壁画プレートのアップ、
「K.IBA」からするに、
先代の伊庭喜之助は、
同じイニシャルである伊庭惟高に、
“ 良い形で薫風社を渡したい “
という意味でつけられていた、
ということかと。
なんだそれ、って感じですが。
速水達がいつから気づいていたのか等は、
作中では分かりませんでしたが、
遅くても、
惟高が速水に協力を取り付ける時には、
全て気づき、計画が組まれていた。
ということかと。)
そして後半、迷子にさせられたのは、
東松だけではありません。
速水に惟高、高野に神座に矢代と、
もうほぼ全員です。
矢代の、
「良い思い出になりました(´∀`*)ハハッ」
から崩れてった印象です。
矢代は迷子というよりは、
サイコパス発覚ですが。笑
いやほんと、
恨みも無いのによくあんなこと出来るわw
城島咲が捕まったインタビューの後、
速水の腕を振り払ってましたが、
あれも演技だったとなる訳で。
暴漢のきっかけ作った要因でもあるのに、
すでに過去のこととして、
良い思い出とか言ってますよ。(^ω^;)コッワ
ここからは、ほんとの迷子たち。
速水は、トリニティ廃刊に関して、
東松が通達してくる前から、
既に筋書きとしてあったということなので、
過去のクビにされてきた件や、
編集長としての振る舞いなどから伝わる、
“ 本当に面白いことを伝えようとする、
真っ直ぐな人 “
という像が崩れ、
ただの惟高の道具に見えましたし、
それで世界だなんだと、
よく分からないことを言ったかと思えば、
あっさりしてやられ、
収監された城島咲に擦り寄るという、
急に万策尽きた感。
うん、、どうした?
そして神座を取られただけで、
Amazonから提携を見直されかねないという、
惟高の弱体化。これマジで謎。
(映っていないところで、
他にもあったのかもしれないが、
原作とかけ離れているため、
真相は闇の中。)
そもそも神座の件は、
後発で偶然だったはずなのになぜ?
速水に八つ当たりする姿は、
余裕のなさが露呈し、小物感がにじむ始末。
速水も惟高も、
そんなタイプじゃなかったのに、
急にグラつきすぎだろ。笑
高野に至っては、人格を疑うレベル。
速水は、
出版社の存続に必要なこととして、
薫風を瓦解させたのに対し、
高野は自分勝手な行動で、
薫風を潰した形になり、
かなり恨みを買うやり方してるのに、
私頑張ります!って無邪気にニコニコ。
(会社の仕事を、
急に辞めて丸ごと掠め取っていくって、
相当なクズですよ。笑
神座の原稿にしても本人にしても、
高野は毎回見つけるまでで、
引き寄せるための段取りを作ったり、
契約?に漕ぎ付けて、
販促してたのは速水や会社な訳で。笑
なんなら速水は、
神座の担当を任せたいとすら言っていた。
その速水に、
「人を騙して、面白いですか」
ってキレてたの誰だよっていう。
一応会社を辞めてから、
勝手にペン入れしたものを持って行った、
ってことかと思いますが、
「君の案の方が面白そう」
と言われたからといって、
やって良いことではないかと。
一応罪になるのか調べたところ、
営業の根幹にまつわる場合、
守秘義務に引っかかる可能性アリと。
一般的には、入社時の契約書や、
退社時の追加契約書に、
その手の決め事を記載するそう。
描かれていない点が多いので、
今作においては不明ですが。)
最後の神座も同様。
勝手に出版されて姿消したくせに、
勝手に話進めて別で出版。
別作品にしたとはいえ、
会社は「22年ぶりのカムバック!」
って準備していましたし、
掠め取ったことに他ならないかと。
もうツッコミが追いつかず、
色々と迷子なまま、怒涛の進行。
、、なんだこれ。でした。
トリニティのメンバーのような視点で、
作品を観ていただけに、
速水や高野には、胸糞感すら感じましたね。
実店舗のみの高額本、
勝手に考察してみたのですが、
(伏線としては、女子高生が言ってた、
“ 本しかないので ” ってところかと。)
一般書籍の初版数の基準として、
(利益を得るために設定するライン)
小さな出版社で約2500部、
大きな出版社で約7500部が目安らしいので、
(ここから重版が決まるとヒット作扱い。
ラノベなど大量に売れる作品は、
初版の基準は同じくらいらしいが、
ヒット扱いとなるのは、
約7万部くらいからとのこと。)
1部1000円として、
1000円×2500部
=250万円の売上が最低ラインとすると、
250万÷3万5千=71.42…≒72
72人が購入すれば、
利益になるとは見なせるかな?
神座の威光が未知数ですが、
もし仮に、雑誌等で話題になった通りのことが、
現実でも起きるのであれば、
見込み客は十分かと思うので、
戦略次第では、勝てる気がします。
(作中では、発売が急に発表されて、
どこぞが取材したネットニュースが、
速水の目に止まった。
って感じっぽいので、
あれほど人が殺到するとは思えない。)
とはいえ、これは長くは続かないでしょう。
一発目は珍しさで話題になり、
買う人も一部存在すると思いますが、
継続性が無さすぎるし、
購買層が限られるので、
一瞬で廃れる気がする。
ほぼ1発限りの手法かと。
(初版の目安も、あくまで同じ会社で、
複数出版しているからこその数字であって、
1本しかなければ、
もっと売る必要もあると思われ。)
でも、速水に言わせれば、
「今、売れるかどうか。
同じことに固執してどうする?
新しい面白いことを、
次々やれば良いじゃない!」
って言うと思うので、
高野は速水のいうことを実践した。
とも取れるのかなと思い、
今作の現代へのメッセージはここかなと。
まぁ、高野にそんな感じはなかったですが。
参考までに、
1990年以降の国内小説売上トップは、
百田さんの “永遠の0 (2003) “ 、
546万部です。
仮に百田さんが、
永遠の0出版後、姿をくらましていたとして、
19年ぶりに新作を出すとします。
さて、皆さんなら、
3万5千円払いますか?
僕はきっと、
ネットニュースを一回開いて終わりですね、、笑
あ、映画化されたら観るかも、、?
(ちなみに、
世界ベストセラーランキング
(1990年以降)は、
“ハリーポッターと賢者の石(1997)“、
1億700万部 。
その次が、
”ダ・ヴィンチ・コード(2003)”
8000万部です。
J・K・ローリングさんが、
20年後に超大作の新作3万5千円、、
オンラインでこれなら、
ちょっと悩む…かも。笑)
今回は小ネタ溢れなかったのでナシです。笑
バカ長すぎるだろってね。すみません。笑
p.s.(20.02.11)
予告見ました。これはアカンw
https://www.youtube.com/watch?v=ujyUSphx648
脚色賞モノ。切り貼りが上手過ぎます。笑